追放

暫くして総監室に入った3人はとぼとぼと退室した。


 竹下・中沢は二課に降格且つ二週間の謹慎処分。

 馬場は捜査から外されることとなった。


「あーあ、お前らのせいで。」

 馬場が何もかも投げ出したように、嫌味を放った。


「僕ら、なんかしました?」

「十分にいろいろやってくれたじゃねえか。」

「しかし、僕らの捜査に参加したのは馬場さんの勝手ですよね。竹下さん?」

 中沢が竹下に同意を求めた。


「まあ、中沢くんの言うことに誤りはありませんが。

 馬場さんは捜査を外されるだけでしょう。

 それに比べて私たちは………」

「だけじゃないですよ。

 常識的に考えて、俺だって結構まずいことなんですからね。」

 竹下は一課に入室するや否や自分の席のありとあらゆる資料を取り出し始めた。


「僕も、自分の荷物かたづけるんですか?」

 中沢が尋ねた。

「こんなにも捜査をすることを反対される組織の中にいたって何か私たちに利益はあるでしょうか?」

 竹下の実にテキパキした、熟練の立ち退き術には多くの経験があるのかもしれない。


「今回だけは忠実に従うんですか。」

 馬場が何やら見下すように確認した。


「…………まさか。」

 竹下は目もくれず答えた。


「…………まさか……とは?」

 3人は皆キョトンとした。


「捜査はもちろんしますよ。」

「二課を荒らすんですか!」

「いえいえ、とんでもない。

 家に全資料を持ち帰ります。

 中沢くんは勿論手伝ってくれますよね?」

「勿論です!馬場さんもやるそうですよ!」

 中沢がハキハキと返事をした。


「えっ、俺、やるなんて一言も言ってませんよっ!」

 竹下はびっしいいと慌てる馬場を指した。

「『俺、や・る・』って今、言いましたよ。」

「僕も確かに聞きました!」


「はぁ………」

「どうかしましたか?」

「理不尽だ………」

「どうしましたか?」

「…………………やればいいんでしょ!やれば!」

「流石参事官。

 異色の物分かりの良さですねぇ。」

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