第13話 キスから教えるのさ!

 ソフィアを送り迎えするようになってから、俺は毎日がウキウキしていた。俺の子猫をどうやって育てようかって、心が躍ってたんだ。


 ソフィアを送り届ける途中、いつものように高台に寄った彼女にこう言ったんだ。


「ソフィア、今夜一緒に映画を見ないか? お前の親たちには、友達の家に泊まるってことに出来るか? 」


「えっ? 」


 頬を染めながら潤んだ目で俺を見つめていたぜ。


「無理にとは言わないが、今日、俺のうちの奴らは旅行で誰もいなくなる。泊まりに来ないか? 」


 こんな時は、直球に限る。変な小細工をしたってダメなんだ。女にだって覚悟がいるからな。ちゃんと納得させないと、こっちが絶好調の時、泣かれたら目も当てられないぜ。ここは、子猫の覚悟を聞くしかないんだ。


「無理しなくていいんだぜ! お前が良ければだからな」


 ちょっと、冷たい口調で言い放つと、女は必ず落ちる!!


 ほらな。ソフィアも、覚悟を決めたようだぜ。

 俺の目を見つめながら、ゆっくりとコクンと頷いた。


 よぉーし!! 今夜も俺はバッチリ決めるぞ!


 ソフィアは、小さな声で俺に言ったんだ。


「私……キスもしたことないの」ってな!


 お前は、俺の子猫なんだ。俺が一から教えてやるぜ。


 俺は、ソフィアの顔に近づいて、そっと触れるだけのキスをしたんだ。

可愛いぷるぷるのくちびるが、俺の心をわくわくさせたぜ。

軽いキスなのに、はにかむ様子が無性に可愛かったぜ !


 俺は、もう一度、ソフィアのくちびるを奪ったんだ。今度はくちびるのなかをそっとこじ開けて舌を絡めたぜ。ソフィアは、目をつぶったまま俺を受け入れた。あー。俺の可愛い子猫ちゃん。今夜が楽しみだぜ!


 今夜一緒に見る映画は、子猫ちゃんの気分を盛り上げるやつがいいな。そうだ、俺の趣味じゃないが、まだ幼さが残るソフィアには、実写版ディズニー・シンデレラなんかがいいかもしれない。王子役のリチャード・マッデンは俺に似てるからな。あの映画が上映された時、俺が王子にそっくりなこともあり、たくさんの女からアプローチされたのを思い出したぜ!


 女は、あの手の映画を見た後、ロマンチックにどっぷり浸かるから、そのあとの攻めが楽なんだ。キスも初めてなソフィアを落とすには、王子の俺に抱かれる夢を見せてやるのが一番だ。


 今夜の俺は、可愛いお前だけの王子になってやるぜ!

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