第10話:「アカネ」魔族に合う

帰りは暗殺者や盗賊に襲われることもなくすんなり帰ってきたエリザベート皇女一行だった


「お久~」

超明るく王都ギルド会館に入って来たアカネ

受け付け嬢がアカネを見てあわあわになっている

「あっアカネさんアカネさん!」

(ん?なんか皆の様子可笑しい?)


【ルナ】;あれではないでしょうか?

奥のギルド内にある食堂の椅子に人相の悪い連中が数人此方を見ている

(ん?デジャヴ?見た目が違うけど・・・)

ガタガタと席を立ちアカネの元に来て膝を折る

「ふぇ?」

(変な声出た・・・)

「女神様、我ら心を入れ替え貴方のために働くべく馳せ参じました。」

「・・・・・」


「えーと・・・」

思わずきょろきょろと周りを見る

「アカネさん探しても貴女以外いませんよ」

そう言う受付嬢

「はぁ~間に合ってます、他をあたってください、では」

といってクエストボードに向かった

威圧を込めて言い放ったため、暫く人相の悪いい連中は動けないだろう


「ごめんね、最低依頼料っていうのがあってね」

違う窓口に小さい女の子が依頼の紙を持って半泣きで立っていた

「ミケ、探してほしいの・・・」

「迷子動物捜査依頼は最低銅貨5枚なの、ごめんね」

3枚の銅貨を握りしめて女の子は唇をかんでいた

「どうかしたの?」

「あっアカネさん、依頼料が足りなくて、可愛そうなんですけど・・・」

じっと女の子を見ると

「・・・いいよ個人で受けてあげる・・・」

「え?」

「ここに指名、アカネ、って書いて、指名依頼には最低最高の決まりはないよね」

「無いですけど、え?アカネさんが受けるんですか・動物捜索依頼?」

「うん、大丈夫よすぐ探せるから」

「・・・分かりました・・・」

受け付け嬢は受理の作業をしてくれた

「さてミケの特徴と何処で居なくなったのか言ってくれる?」

ぱぁっと明るき笑顔を向ける女の子

「どんな魔物なのかな?」

「「「「ん?」」」」

そこに居た全員がアカネ言葉に耳を疑った

「ウォーウルフなの、魔物の森ではぐれて、ミケが居ないと家に帰れないの」

「うーん、家って魔国だよね?遠いよねミケに乗って来たの?」

「ミケは眷族だから言葉も話すし、魔法も仕えるから移転魔法で観光に来てたの」


「・・・・」

皆ついていけないようだ、魔族と聞いて誰もが顔を引きつられせている

「分かったわ、手つなごうか?あなたの臭いをまくのでそれに反応したウォーウルフを特定するから」

女の子と手をつなぐと体に魔力を這わせる、そして一気に拡散!

王都、王都周辺の森に風が優しく走る

「居た、分かる?」

「うん♪」

「送ってあげるから、この紙に依頼完了のサイン貰える?」

「おりがとう、おねえちゃん」

「うっ可愛い~さすが魔王の娘、王女なだけあるわ~」

「「「「!!!」」」」

皆、破顔するアカネに見惚れると同時に困惑

「「「「魔王のむすめぇ~?」」」」」

「はい、完了書類」

受け付けに渡すと

「じゃ!この子送って行ってくるから」


「いっ・・・・いってらっしゃい」


放置された人相の悪い連中も動ける様になっていたが、だれも動こうとしなかった


そのうち王都の城壁の近くの森の方で爆発音が聞こえてきた




「ちょっとまって」

防壁を張りながらミケの攻撃を流しているアカネだった

女の子を後ろに庇いながらこちらに魔法攻撃を仕掛けてくるミケ

「しょうがないなぁ」

魔法が放たれる寸前で叫んだ

「ミケランジェロ・クルージュン!」

ぴたっと攻撃がやんだ

『私の誠の名を・・・なぜ』

「ミケ~違うよ~さらわれたんじゃないよ、おねさんに助けてもらったんだよ」

「・・・年上にお姉さんって言われるのも変だけど・・・」

「うーんそうだけど、お姉さんはおねえさんだよ~」

「気を付けて帰ってね、」

「うん、ありがとう~」

「あっそうだ、これ上げる」

「?なに?」

「普通の焼き菓子だよ、売ろうと思ってて、感想聞かせて」

ミケが慌てて止めようとしたが女の子はぱくっと食べた

「・・・・美味しい・・・」

「そう?魔族にもうけるかなぁ」

「売れる!買いたい!」

「近い内に大量生産する予定、注文お待ちしております。」

「何処に頼めばいいの?」

「案内状送るよ、何処に送る?」

「え?魔王城?」

「いいよ、準備出来たら案内状送るね、」

「うん、楽しみにしてる、じゃぁまたね」

じっとウォーウルフを見たアカネ

『なっなんだ』

殺気を送った、

ジャーと失禁するミケ・・・

「・・・ミケ!きったナーい・・・」

「悪い、ウォーウルフにいやな思い出があって、」

そう言うアカネ

「おねえさん、私の名前カーミラ覚えておいてね」

「うん、またねカーミラ」

移転してその場から消えた




『カーミラ様失礼しました』

「良いよ~あの殺気で失神しなかっだけ凄いと思うよ」

『何者ですか』

「分からなかった?神様だよ~現生女神」

『何を?神などと、軽々しく言っては』

「彼女の逆鱗に触れないようにお父様に言っておかなきゃ」

『魔王様が出てこればあの物など』

「あんた、目は節穴?お父様でも瞬殺だよそれほど強いよあの人」

二人は魔王城に入って行った



王都ギルド会館では大騒ぎ

「魔族が攻めてくるのか?」

「観光ってどういうことだ?」

「さすがアカネ殿、魔族をあしらっておられた」


ふゆんと移転魔法で戻って来たアカネ

「何?何の騒ぎ?」


(結構強かったね王女カーミラ!)

【ルナ】;世界で4番目に強いと言えます


1番:アカネ様

2番:ルナ(わたし)

3番:魔王

4番:カーミラ

でしょうか?



「アカネ様、さっきの女の子は?」

「帰って行ったよミケと」

「魔王の娘って」

「カーミラ王女ね、可愛かったよね~あれで450歳なんて思えないわ~魔王って480歳くらいだっけ?」

「「「・・・・」」」

「また会えるかな?」


【ルナ】;皆が引いてますよアカネ様

(え?なんで?)

【ルナ】;魔族と忌むものです、人族にとって敵、相容れないものとされております

(あ~そうだね、昔っからそんな感覚私には無かったから)


周りを見ると

「魔族と繋がっている?」

「アカネ様がそんな」

「信じてたのに」



「アカネ様~と何かあったんですか?」

ロベール第2王子が能天気にアカネを訪ねてきた

「魔族?へぇさすがアカネ様魔族とも親交を持たれるとは女神さまは違うなぁ」

「ロベール王子?」

「さすが私の愛しい人、魔族の王女?ぜひ私もお会いしたかった」

「王子ともあろう方が、魔族と親交などとたわけたことを言わないでください」

「あっ腹黒」

「・・・やめてもらえますかね、アカネ様その言い方」

ふいをつかれた

腕を掴まれてロベールノ腕の中に取り込まれた

魔力が体を撫でまわす・・・

「あっ・・・ロベール様?離して」

「そんな悲しそうな顔をして、大丈夫ですよ魔族だろうときっとあなたの前では大人しくになります」

「友達になれる?」

「なれます、あなたですもん」


「「「「ああっ、そうだアカネはアカネだ」」」」

王子の言葉で無邪気に笑うアカネ、もう疑いの目をしているものは居なかった


ぎゅーと抱きしめるロベール

さらに魔力がアカネを撫で前わす


(やばい・・・気持ちいい・・・愛情と・・・欲望・・・!!)

ばっと離れるアカネ

「アカネ様?何故フィンセントの後ろに隠れるのです?」

スパコーン

書類を丸めたものでロベールの頭を叩く

「欲望が駄々漏れだからだ!」

ぎろっと睨むアカネ

「一度ためしません?一回寝たからと言って結婚だー何て言いませんから!」

スパコーン

「女性にそれを言うのはダメだろうが!アカネ様はお嬢様だぞ!」


【ルナ】;ぷっ

(ルナ、そこ笑うところじゃないから)

【ルナ】;お嬢様は酔っ払いおじ様方と下ネタ満載の話しません

(ぐっ、それは前世でもおじさんたちと飲む機会が多くて)

【ルナ】;そしてまんざら考えないことも無いかな?なんて考えるの辞めた方が良いですよ、絶対周り固められます

(うっ・・・伴侶は欲しいし、顔は好みだけど、恋愛感情はまだないかなぁ、・・・それに王族はやはりいやだなぁ)


すっかり人相の悪い連中のことはすっかり忘れている皆であった





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