魔法

ザッ ザッ ザッ ザッ

闇に包まれた夜の森を黒い影が歩いている。

その影はこの世界では見慣れない服を着ており、髪は黒く周りの闇と同化する。

紅い目は冷たく輝き見るものを委縮させる。

影は歩きながら一つ


「…はぁ…」


と、ため息をついた。

一体この2日間でどれだけの数のため息をついただろうか。

少なくとも過去最高の数値を叩き出しているは間違いないだろう。

一体いつになったらこのため息の原因は解決するのだろうか。

まぁそれも、俺の努力次第だろう。

そんな感じで俺が嘆きながら歩いていると、目に前に大きな湖が見えてきた。

湖につくと早速ステータスを開く。

俺の今の最大の悩みはやはりステータスだ。

なんてったって


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


名前: 黒木 幸助


種族: 人間(?)


職業: 死騎士


Lv: 1


属性: 闇・禁忌・????


カルマ: 黒


HP: 840


MP: 795


攻撃力: 960


防御力: 870


魔法攻撃力: 905


精神力: 1285


スキル: 言語理解・経験値増加・威圧Lv8


ユニークスキル: 「禁忌の世界」「黙示録」


称号: 異世界人・大罪人・恐怖の体現者


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


これだからな…。

いつこんなに数値が上がったのかわからないが、取り敢えず俺はあることを始める。

それはユニークスキル「黙示録」と「禁忌の世界」の開放だ。

朝の訓練で「眼」が変わってから、俺には魔力が見えるようになった。

そして自分を見てみたところ、心臓のあたりに「呪印」を見つけたのだ。

だが、その封印はかなり弱まっていて魔力を込めれば解呪できることがわかった。

早速魔力を込める。だが、


「ッ!?…グッ!」


やはり邪神の力を封印しているだけあり、弱まっていてもかなり強力だ。

魔力が反発して身体中の骨が勢いで軋み、悲鳴を上げる。

鼓動が高まり呼吸が浅くなる。

しかし、そのかいあって封印が壊れかけている。


「……ッ‼」

あともう少し!

「……ガッ!」

もう少し!

「ガアァァァァァァァァ!!!!!」


ピキッ バキッバキッ バキバキバキ ガシャーン‼


何かが割れる様な音が聞こえた。

同時に声も。


【ありがとうございます。マスター】


「ウオッ⁉な、なんだ⁉」


いきなり声が聞こえた!若い女の人の声だ!

でもどうして?


【落ち着いてくださいマスター。今から説明します】


【私は「黙示録」に組み込まれた魔法意識体。名前はアガリアレプトと申します。

「黙示録」の管理者として邪神に作られました。しかしご存知の通り、その後すぐに邪神は死にました。私は黙示録の存在を神達に知られないように魔力を抑え込みながら約50億年もの間隠れていたのです】


「質問いいか?」


【はい】


「どうやって隠れていたんだ?」


【自然の魔力と同化していました】


「今みたいに人の中に入っていたんじゃないのか?」


【いいえ。そもそも私の「瘴気」に耐えられる魔力の質と、相性のいいカルマを持つものは50億年間、マスターともう一人を除いていませんでした】


「待て。その「もう一人」って誰だ?」


【この「黙示録」を作った邪神です】


「邪神のカルマは黒だったのか?」


【いいえ。邪神は赤黒いカルマだったので純粋な黒ではありませんでした。そもそもカルマとは神を作った世界の理が生み出した「表と裏」のどちら寄りかという基準なのです。邪神は表の神の一人が誰もいない裏の世界に干渉して邪神となったのです。つまり邪神はもともとは表の神なのですよ。マスター…あなたのカルマは「裏」そのものです。マスターは邪神をも超える史上最凶の「悪」なのです!】


「最後の方が妙に嬉しそうだな⁉」


【……そんなことありませんよ?】


「おい、今の間はなん【そんなことよりマスター。何かほかに質問はございますか?】


「かき消しやがったな⁉……まぁいい。質問はあるが続きは帰りながら聞こう。朝は部屋にいないと怪しまれる。これ以上目立つ行動をすればクラスでの立ち位置が変わってしまうからな。」


【了解しましたマスター】


そして俺はまた闇に紛れて帰路についた。






























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禁忌魔法で無双中 黒狼 牙 @TryKosei4717

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