深夜のメッセージ

 知らない人からのメッセージ。


 普段ならスルーしてしまうところだけれど、返信してもいいかなという気分だったためにフリック入力を行った。

 送信してものの10秒で次が届いた合図がスマホに表示される。数回のやり取りを行ったが、明日も朝が早い。面倒になってしまったので、そのまま放置して眠りについた。朝までに大量のメッセージを受信しているようならば、ブロックしてしまえば済むと考えたからだ。


 翌日、目覚まし時計の音が鳴り響いたので迷惑そうな顔をしながら起き上がった。

 妙にぐっすり眠れたようだ。そのまま支度をして職場へ出発する。


 仕事の調子も良かった。気分よく帰宅をし、ゆっくり湯船に浸かる。心地よい疲労感が身体を駆け巡った。

 風呂上がりにスマホを見るとメッセージを受信していることを伝えてくる。ロックを解除して確認してみると、昨日の送り主だった。タイミングというか節度というか、そういったものを弁えている雰囲気が伝わってくる。

 再び気をよくしてやりとりを開始した。


 適度なメッセージを往復させるという日々が暫く続き、一か月ほど経った頃だろうか、会ってみないかという提案があった。

 顔も知らない相手であり、少々の不安はある。インターネットで知り合ったことになるわけで、トラブルなんかもたまにニュースになっていることなどを考えると、躊躇ってしまう。

 相手にその旨を伝えると、「仕方ないよね」って返ってきた。

 このメッセージが逆に安心感を与えてくれたから、様子見をした後に会ってみようと相手の男に送信した。


 しかし、なにか勘違いさせているようで申し訳ない。

 だって俺は男だもの。笑いあえればいいんだけど。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る