13#愛するタヌキと風船と

 「わーい!」「待ってよー!」


 タヌキのポクとポコの間に産まれた子ダヌキ達は、お互い遊び回った。


 ポクとポコは、優しく我が子達を見守っていた。


 「坊や、余り遠くに行かないでね!」


 妻ダヌキのポコは微笑んだ。


 2匹を引き寄せて、2匹が膨らまし割ったオレンジ色の風船は、巣穴の中の奥に2匹の『愛の証』として埋められた。


 「やあ!タヌキさん!」


 アナグマのプチャと、リスのグリボンがやって来た。


 「やっと、結婚したんだ!」


 「うわー可愛い!!」


 アナグマとリスは、子ダヌキを見て感嘆した。


 「あそぼ!あそぼ!」2匹は子ダヌキ達と戯れた。


 「ところで、つがいは?」ポクは聞いた。


 「今年もあぶれたぁ。」2匹はしょんぼりとした。


 「あらら・・・」




 ドドドドドド・・・




 「おーい!タヌキのポクぅ!」


 イノシシのブッピは猛スピードで、ポクに迫ってきてのし掛かってきた。


 「結婚おめぇーーーーーーー!」


 ブッピは、大きな鼻の孔をポクの顔に押し付けた。


 そこに、カラスのカーキチとカースケもやって来た。


 「おひさしぶり!!うほっ!可愛い子ダヌキ!」


 2羽はまじまじと子ダヌキ達を見つめた。


 「君達、つがいは?」ポクは聞いた。


 「さっぱり!!」「いねーよ。」


 「俺達やっぱ、自由気ままがいいぜ。」


 「つーか、つがいいないから悟ったの!ははは・・・」


 「はあ・・・」2羽のカラスは溜め息をついた。


 「トビのスピーの奴、つがい目取ったってさ!」


 カースケは空を見上げた。


 「ぴーひょろろ!」


 トビのスピーは、上空を舞っていた。


 「羨ましいよな。もう既に雌を目とってたんだって!」


 カースケは悔しそうに言った。


 「スピーは今、雛にやる餌を採りに真っ最中さ。気を付けろよ。」


「カラス達!そんなことしないよバーカ!!」


 上空で、トビのスピーが叫んだ。


 タヌキのポクとポコ、そして森の動物達は、一緒に子ダヌキ達と仲良く遊んだ。




 ・・・おいらは、この幸せを決して『終わらせない』・・・!!



 ・・・もうあの頃の、おいらの『意気地無し』はいないんだ・・・



 ・・・全力で、命を賭けてこの子ダヌキ達やポコを守ってやる・・・!!



 ・・・天国の母ちゃん父ちゃん、そして兄弟達・・・



 ・・・おいらをずっと、見守っててくれ・・・!!




 「おっす!タヌキ!!久しぶりだな!」


 ライバルのキツネ、コルが声をかけた。


 2匹はお互いの子供を育てきった、父の顔になっていた。


 「良かったな!!お前も愛妻が出来て!」「お陰様で!!」


 2匹は肩を抱いた。


 「また来年も愛妻と育むのかい?」「うん!」


 「俺もそうだ。」キツネのコルは、草葉でジャンプする愛妻を見詰めた。


 「あら、キツネさん?」


 ポクの愛妻、ポコがコルに話し掛けた。


 「あーそーぼーお!」にこっ・・・


 「あ!あたしの台詞よ!」


 キツネのコルの愛妻、ココもやってきた。


 「あれ?風船・・・」


 ココは、オレンジ色の風船をくわえていた。


 「弱冠縮んでるから、あたしが膨らませて風船突きで遊びましょ!!」「賛成!!」




 ぶう~~~~~~~っ!!




「すごくほっぺたパンパン!!」「どれが風船か解らな~い!!」


「ほっといて!!」


キツネのココが息で膨らんだ風船は、粉雪の舞う雪原に転がった。


 「わーい!わーい!」


 4匹は雪まみれになって、戯れた。



 ・・・恋するって素晴らしい・・・



 ・・・『終わらない』愛が育むから・・・








 ~愛するタヌキと風船と~


 ~fin~

 


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【改稿版】恋するタヌキと風船と アほリ @ahori1970

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