12#タヌキ達は愛で膨らんだ、決して割れない風船

 「かあー!」「かあー!」「ぴー!」


 とてつもない音を立ててパンクした風船にビックリしたトビとカラス達は思わず飛び立った。


 「えーーん!!風船が割れちゃったぁー!!」


 雌ダヌキのポコは、ショックで泣き出した。




 ぺろ・・・




 タヌキのポクは泣きじゃくる雌ダヌキのポコに近寄って、涙を舐め取った。




 ぺろぺろぺろぺろ・・・




 「あはは!くすぐったい!!」


 ポコは、顔を舐めまわすポクに思わず笑い転げた。


 「ポコ・・・」


 「ポクちゃん、なあに?」


 タヌキのポクは、雌ダヌキのポコを前肢で抱き締めた。


 「け・・・結婚しよう!」


 ・・・うわ!言っちゃったぁ・・・!!


 「んまあ!その一言待ってたの!!ありがとう!!あの時、助けてくれて・・・」



 「おおよ!今からおいらと『始め』よう!おいらもここから『始め』たいんだ!!」


 タヌキのポクの目からも、一筋涙がこぼれた。


 ポコのふくよかなその体に、母ダヌキの面影を感じ、全てを賭けてポコを守ろうと決心した。


 ポクとポコは、お互いキスをした。


 「ふーっ!」「ふーっ!」


 風船を膨らますように、お互いの吐息でお互いに吐息を吹き込んだ。




 ・・・おいら達は風船なんだ・・・



 ・・・『愛』で膨らんだ決して割れない風船・・・



 ・・・おいら達はの愛は『終わらない』・・・



 ・・・おいら達は『始まった』んだ・・・




 「?」「?」


 2匹は辺りを見回した。「あっ」


 カラスのカーキチとカースケは、翼でお互い抱き締めて嘴を合わせてニヤニヤした。


 「ひゅーひゅー!お熱いねえ!!」


 カラスのカーキチとカースケは、タヌキのポクとポコを囃し立てた。


 トビのスピーも、翼を嘴に当てて「ひゅー!ひゅー!ひゅー!」と吹いた。


 「結婚おめでとう!」「結婚おめでとう!」


 タヌキのポクとポコはお互い顔を見合わせた。


 「ぷぅっ!」


 「ぷふふふ!」


 「あっはっはははははは!!」


 2匹は、笑い転げた。


 2匹は、追いかけっこした。


 そして2匹はまぐわり、愛は始まった。



 

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