第5話番外編 異世界保健所のソームな人達三千里

異世界保健所総務課、その執務室にて。


「最近、衛生課がゴタついてるわよねー」


「どっかのフーゾクの水が基準値アウトしちゃったんでしたっけ」


「そうそう。衛生課の課長が青い顔してたわよ」


「そりゃそうですよねー。これで被害者とか出ちゃったら首が飛ぶだろうし。きっと今、衛生課の人達、デスマーチの真っ最中じゃないですか?」


「きっとそうね。同期の子なんて2日連続、湯船に浸かれてないって」


「うわー。その人絶対臭いますってー」


「いや、その子獣人だから元々臭いはあるんだけどね」


「あ、そうなんですか。それで課の前通るとたまにケモノ臭さを感じるんですね」


「どの課もそれなりにケモノ臭さはあるわよ、うちの課は例外的に獣人がいないってだけで」


「え、それならうちの課はケモノ臭さはないですよね?」


「いや、ケモノ臭さは移るみたい。私なんてこの前彼氏に「臭くて興奮する」って言われちゃったし」


「アハハ、それ多分先輩の体臭ですよ。それにしても、衛生課は割とバラエティ豊かな人材が集まってますね。医者とか薬剤師とか」


「今聞き捨てならない単語を聞いた気がするけど………。ま、いいわ。確かに結構色んなのがいるわね、あの課。今年の新人は労働衛生の資格持ってるって」


「そんな人が所属してる課がデスマーチって、労働衛生もクソもないですね」


「緊急案件なら仕方ないわよ。もし彼氏が風俗行って性病もらってきて自分に移されたら嫌でしょ」


「彼氏いないのでその心配はないですけどね」


「へ〜いないんだ〜。それじゃどんなのが好みなのよ?」


「え〜それはまあ、優しくて落ち着いてて、貯金が多い人ならいいかな〜って」


「それなら衛生課のあのー何だっけ、ほら、ネイザーさんといつも一緒の………そうそう、テイクさんは?」


「確かに優しそうだし、落ち着いてますけど〜、貯金が多いかはわからなくないですか〜?」


「多分大丈夫でしょ。無駄な飲み会とかには顔出したことがないらしいし、少なくとも酒に散財するようなタイプではないんじゃない?」


「あれ、2人とも知らんの?テイクは風俗狂いで有名なんだぜ?」


「ちょっと、何女子トークに乱入してんのよ」


「そんなことより、フーゾク狂いってマジですか!?ちょっとショック〜」


「マジマジ。しかも本人は「性欲を満たすのではなく、学術目的で通ってる」って言い張るからな」


「何それキモ〜イ。いかにもフーゾクにハマりそうな人の言い訳ですね〜」


「あとテイクさんの行きつけもヤバいんだ。巷の男共の中で有名な"ダーク・ミクスチャー"に何度も通ってるらしい」


「それ私も知ってる。ブスが出てくる娼館だっけ」


「ブスってレベルじゃない、バケモンが出てくるらしい。そんなモンスターハウスに、テイクさんは単騎で日夜挑んでるんだぜ。だから衛生課の奴らもテイクさんには敬意を評して、絶対に風俗狂いとは言わないんだとさ」


「でもまぁ単なるフーゾク狂いですよね、それって」


「それを言ってやるなって。テイクさんは仕事も出来るんだから尊敬できる部分は大いにあるぞ」


「え〜でもフーゾク狂いってだけで減点2億点くらいですよ。テイクさんイイなぁって思ってたけど幻滅しました〜」


「それなら感染症課の職員紹介するぜ?俺の同期の感染症課のヤツが彼女に振られたばっかでさ、ソイツと食事でも一緒に行ってやってくんない?」


「ん〜、その人の奢りなら喜んで〜」


「よし、じゃあ早速連絡とってみるわ」


………

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異世界保健所 @hybrid

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