愛の証明

「そろそろ帰ろうよ」

いつものように彼女に帰ろうと誘われたので、俺は大人しく付き合うことにした。

「ねえねえ、私のこと好き?」

どうやら彼女の惚気が始まったようだ。

「そりゃ・・・まあ」

「えー?ちゃんと好きって言葉にしてよ」

「好きって言うの意外と恥ずかしんだよ」

「だったら好きじゃなくても愛してる、って私がわかる言葉ならいいんだよ」

「そんなに簡単に言うけどさ、お前ならなんて言うんだよ」

「私?そうだね・・・私はあなたの幸せを願います」

(相変わらずロマンチストだよな)

「他には?」

「他?そうだね・・・四六時中あなたの事を見ていたいな」

「その言動は間違いなくストーカーだから」

「そうかな?私は君のことずっと見てたいよ」

(面と向かってそんなこと言われるとやっぱり恥ずかしいな)

「家にいる時も、お風呂の時も、トイレや寝ている時だって・・・」

(・・・ここまで来ると照れが無くなってくるな)

「それって本気じゃないよね?」

「そりゃもちろん、2割冗談だよ」

(ほとんど本気だこの人!」

「他にもあるよ。例えば・・・いつもあなたを性的な目で見ています」

「変態だから!俺のこと、いつもそんな目で見てたのかよ!?」

「え?・・・じゅるり」

彼女の俺を見る目が、何故だか野獣を連想させたのは気のせいだと思っておこう。

「だって1度も私に襲って来ないじゃん!」

「そういうのは、もうちょっと付き合ってから・・・」

「分かったよ。これからは私が襲いに行くから!」

「犯罪予告!?」

「それで?私になんて言うか決まった?」

すっかり忘れていたが、そんな話をしていた。

「・・・・・きだよ」

「何?聞こえないよ?」

「好きだよ・・・」

「え?聞こえないよ?」

「声が笑ってるだろ!聞こえているんだろ」

「そりゃ出来ることなら何度でも愛は囁いて欲しいからね!」

「・・・さっさと帰るぞ」

「それならうち来る?今日は私しか居ないし」

「いきなり言われて・・・ちょっ!後ろで腕に手錠をかけるな!」

(俺、どうしてこいつと付き合っているんだろ・・・)

「初めてだから、優しくしてね?」

「こっちのセリフだ!」

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天使の短編置き場 安里 新奈 @Wassy2003721

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