第四章
ハロワールド トビーの体内
なんか、大変なことになっているらしい
また、
「本来、異界人との交流は、我たちの仕事ではないのだがな……」
「いいじゃねぇかよ、ウノ。どうせ、俺たちひと仕事終えて、歓楽の島に食べに行くところだったんだしな。美味い料理の店、知ってからよ……」
ダルは、さっきから食べることばかりしか言ってないんですけど。
「よかったじゃないの。
ラッセのコツコツ音が気にならなくなったのは、ちょっと嬉しいけど。
『それでですね、アルゴ995号。なぜ、わたくしがリンを連れて本部から離れなくてはならないのですか?』
トビーだけが、不満そうだけど、わからなくもない。
なんの説明もなく、いきなり食べられたんだ。
いや、食べられたって言ったら、トビーが怒るんだった。
まぁ、とにかくなんの説明もなしに、トビーの
トビーたちの口ぶりでは、わたしと再会する予定なんてなく、
非常に面白くない。
トビーの白い
時計とかないから、あくまで体感でだけど。
『アルゴさまとのリアルタイム接続圏外になりましたので、ご説明いたします』
赤くなった
『実はぁ、そのぉ、アルゴさまの言動に不審な点がございましてぇ、そのぉ、あのぉ……』
自信が足りない。
ちょっとイラッとしたので眼鏡をクイッと上げて、
「もっと、ハキハキ要領よく説明するの!」
『あわわわわ……』
「あのね、もっとしっかりしてくれないと、こっちが不安になるの!」
『あわわわ……』
「こっちは、常識通じない世界に来て、不安なの。世話係か何か知らないけど、もっと自信持ってしっかりしてもらわないと、困るの!」
『あわわわ……』
言い過ぎちゃったかな。
おぉとか、ダルとウノの感心するイケボの二重奏が聞こえたけど、赤と青の点滅繰り返してる
『あわわわ……』
思えば、この
わたしよりも年下の男の子の声だし、初仕事だし、それも急遽わたしの世話係になったわけだし、なんかいっぱいいっぱいなのもわかる。
ついイラッとして言いすぎちゃったなぁ。
どうしよう。
コツンッ
ラッセが頭を叩いた音がトビーの
「ねぇ、999号、あんたさぁ……」
『995号ですぅ』
もう、かわいそうな
「しょうがないじゃない。あんたらみんな同じ形してるんだもん」
『そんなぁああ』
やっぱり、他にもアルゴなんとか号っているのかぁ。
そりゃあそうだよね。
コツコツッ
「あのね、あたしたちは、あの
コツンッ
完全に
『そうなんですぅ。アルゴさまがぁ、調べるのに時間かけるとかぁ、田村凜子さまにおっしゃるからぁ、絶対にぃ、何かたくらんでいるんですよぉ』
「え、聞いてたの?」
『もちろんですぅううう』
なんか、
青くなったまま、誰にも口を挟ませない勢いで息継ぎなしでしゃべり始める。――そもそも、息してないんだろうな、ピンポン玉だし。
『わたくしどもアルゴシリーズは、もともとアルゴさまの手足で耳と目で、口だったんですぅうううう。261号以降の自律思考型になったわたくしどもも、アルゴさまの一部なんですぅう。ほとんど共有可能なんです。というか、アルゴさまが、共有不可にしない限り、自動的に情報が共有されるんですぅうう』
一つだけわかったことがある。
それにしても、すごい勢いでしゃべるしゃべる。口撃力高いラッセですら、口を挟めないでいる。
『だからぁ、おかしいんですよぉおお。時間をかけてしっかり調べるとか、おかしいんですよぉおおお。だってぇ、アルゴさまはぁ、超高性能な人工知能なんです! 田村凜子さまと不完全なボディで対話している間も、並行して
なんとなく、すごいやつってのはわかったけど、なぜ変態を強調するんだろう。確かにハァハァしてるのは、変態だったけど。変態だったけど、わたしの話はしっかり聞いてくれたはずだったのに。
『だからぁああああああ、皆さまにお願いしてぇえええええ、アルゴさまのリアルタイム同期の接続の圏外まで離れてから、相談したかったんですよぉおおおおおお!! 先輩たちの情報からしてもぉおお、アルゴさまが何か企んでいるときは、大騒動になるんですよぉおお。ほらぁ、863日前の同時多発
「あ……」
短いイケボたちの
『だから、皆さまに相談してなんとかしたいんですよぉおおおおおお』
うん、なんか、大変なことになっているらしい。
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