第12話 2010年 20年前

「2010年(20年前)」


頭痛から目が覚めると、俺は20年前の姿に戻っていた。


一体、どういうことなのか?


俺が「過去に戻ってやり直したい」と、強く願った事が現実になったのか?


目の前には、俺が殺した筈のカズと。当時、結婚しようと思って交際していた美咲がいる。この後、俺は谷口と出会ってネズミ講と宗教にドップリ浸かってゆく。


そして、美咲が離れ。カズと結婚してしまう。何としても、阻止せねば・・。


俺達は、いつも三人でスタバに行くのが日課だった。


共に「虎龍伝」というダンスチームメンバーで、スタバで踊りの討論などを白熱したり、恋愛ネタを話したりしていた。


くだらないネタでも、スタバにこの三人で集まれば楽しかった。


飽きっぽいカズは、誰と交際しても続かなかった。


というか、本当はFBIの仕事の関係で、

デートも突然ドタキャンする事が多かったため、女性に愛想を尽かされる事が多かったのだ。


「カズ君は、面倒見だっていいし。イケメンだしさぁ。ほら、最近ドラマに出てるあの人に似てるじゃない?小栗旬!小栗旬似てるよー!」


と、美咲が言うと。


「あ?どうせ、ちょっと顎が似てるだけっていうんだろ?」


と、カズが突っ込む。そして、美咲が「そう!顎!顎だけ小栗旬に似てるんだってー!」と、ケタケタ笑う。


当時は、まさか横からこの男に美咲が奪い取られるなんて思いもしなかった。美咲が、カズを異性扱いしてる姿など微塵もなかったからだ。


しかも、まさかの出来ちゃった結婚だった。小夏という名前の赤ちゃんが産まれたと、風の便りで聞いた。


妊娠時期が、俺と美咲が交際していた頃と、若干被っていた。カズと、美咲に対する憎悪心が増えたのはいうまでもなかった。おまえら。みんなまとめて、俺の事騙してたんだな。


「そういやさぁ。最近、虎龍伝に谷口って男が入って来たんだけどさぁ。


あいつ、マジキモいらしいの。

いつも挙動不審でさ。


キョロキョロ人を物色してる動作でさぁ。

でも、追い出す訳にもいかないし。


カバンの中には、スカトロ系エロ本ドッサリ入ってるみたいで。かなり、ヤバイ奴みたい。


誰も、あいつに踊り教える所か。


近づかないから、俺困っててさ・・。」


思い出した。カズが、こういう話をしたから、俺が「じゃあ。俺が何とかするよ。」って言ったんだ!


そして、俺が人とのコミュニケーションを無理して取ろうとするよりになり、踊りを教える過程で谷口に洗脳されたんだ・・。


ダメだ。その台詞を言ってはいけない。

俺は、俺はこんな時何て言えばいい?


カズは、いつもこうやって嫌な仕事を嫌味なく人に渡すのがうまかった。


俺はいつも、カズの仕事の残飯処理のような役目だった。


「俺、ヤバイ奴なら。証拠見つけて辞めさせる方がいいかもしれない。


もしかしたら、此処に来た理由が皆と踊るためではなく、何か別の理由があるのかもしれない。ネズミ講や宗教勧誘とか・・。


それが、危険な場合は。

かえって、注意すべきだよ。」


と、俺が言うと二人は目を真ん丸にさせて、

「えー!まじかよ!こえぇぇ!」と言って笑い出した。


こいつら。

事態の重さを、まるでわかってない。俺は、未来から地獄を見てきたんだぞ!


このまま行くと、俺はカズを銃殺するかもしれないんだぞ?大丈夫だ。今なら、俺はきっと未来を変えられる・・。


俺は、カズと美咲を説得させ、谷口にチームを辞めさせる証拠を掴む事にした。谷口をネット検索すれば、既にカルト的人気を誇る怪しいポクポン教という宗教を作っていた。


ポクポン教は、20年後には世界を支配する。ポクポンの教えを信仰するものだけが生き残るであろう。


このポクポン教のホームページ見るなり、カズは「ぎゃはは!こいつ、ばっかじゃねーの!」と、大笑いした。


笑ってる場合じゃないんだよ。今から20年後、ポクポン教は現実に資金を手に入れてアンドロイド社会を設立するんだ。


そして、戦地にアンドロイド兵士を送り込むビジネスなどで成功する。莫大な資金を源に、俺達の未来を蝕んでいくんだよ・・。


俺は、谷口の素性をカズに徹底的に調べさせる事にした。カズは、素性を隠して生活しているが、実はFBI幹部の一人「カズ・カタギリ」でもある。


本当は、俺にも正体を隠していたが。


たまたま、居酒屋で財布を忘れたカズの財布の中身をコッソリ見て知ってしまった。

なんと、そこにはFBIの身分証明書が入っていたのだ。


カズが、本気出せば一人の素性など簡単に捜査出来た。


「こいつ。まじやべぇぞ!


連続婦女暴行事件も繰り返してる。

そして、自分が犯行行ってる癖にさ。


その女の前に偶然を装って、しれっとしながら心弱った所へ宗教勧誘・・。


そこからは、こいつが女から資産を巻き上げ、カラカラになった状態で性奴隷として飼育・・。


性奴隷の女たちを囲って、鵜飼みたいな暮らしをしているそうじゃないか・・。


なんちゅうパラダイス・・

いや・・悪党なんだ・・。」


なんだって?ということは、もしかしたら。


明美をレイプした男は、もしかしたら谷口で。明美を宗教勧誘したのは、自作自演という事なのか?


谷口・・・。まさか、ここまで屑とは・・・。


俺は、こんなヘッポコ屑野郎に数年騙されてきたのか・・。


20年も、谷口に騙され続けてきたことを思うと、怒りと悔しさが込み上げて来た。


いや。正直いえば、もっと早い段階で目は覚めていたのかもしれない。


しかし、逃げることはできなかった。俺が代表と務める三谷コーポレーションには、谷口の莫大な資産が関与していたのだ。


俺の会社は、実は一度大きく経営が傾きかけていた。


しかし、その経営を持ち直してくれたのが谷口の金だった。


谷口から逃げるということは、つまり。


数億にも登る借金を、ある日突然担ぐということだったのだ。


しかし。

もし、俺が最初から。

アンドロイド会社など作らなければ?


俺もあの頃は、金に目が眩んでた。


そして、何をやっても太刀打ち出来ないカズに、どうしても・・。


少しでもいいから、勝ちたかったのだ。


その為に、俺は人生の成功者になって美咲を驚かせたかったのだ・・。


少しずつ、カズと美咲が目の前で仲良くなる事に嫉妬していくのが。

嫌で嫌で堪らなかったのだ・・。


「カズ・・。今日は、何日だ?」


「は、何おめぇ聞いてんの?5月10日だけど?俺の誕生日は、来月だぜ?」


「5月10日・・2010年の5月10日だな・・。


一体、何故。俺はこの日に此処へ・・。

なんか意味がある筈・・。そうだ。思い出した・・!


カズ!此処から緑区の方って何分かかる?」


「は?緑区?地下鉄で、30分くらいだべ?」


「今。時計は17時・・19時まで、あと二時間あれば充分・・。


よし、今からすぐ行くぞ!」


2010年 5月10日 19時20分

俺の妻になる筈の女。明美が、何者かに襲われる。明美は、この事件をキッカケに宗教に入信する。


しかし。もしかしたら。教祖谷口の自作自演の可能性がある・・・。


今から、現地に行って俺たちで明美を守るんだ・・!


2010年5月10日 19時20分

明美が、何者かに襲われる。


何としても、阻止せねば。

明美の未来を守らねば・・。



カズや美咲を連れて、俺は現場に向かう。


「何いってんだよ。おめぇ。予言者かよ。なんで、その場所にそいつが来て女が襲われるとかわかるんだよ。」


と、カズが愚痴愚痴言いながら、めんどくさそうについてくる。


こいつ、本当にそれでFBI幹部かよ・・。


カズは、頭の回転の速さとロボット開発も出来る天才的頭脳をもっていた癖に、


その頭脳を使うことを激しく嫌がるような男だった。


楽して楽しく生きたいがモットーだし、争い事に巻き込まれるのも嫌いだった。


FBIメンバーになれたのも、気がつけばあれよあれよという間になっていたそうだ。


「ねえ、ちょっと・・あの人・・怪しくない・・?挙動不審な動きの男がいる・・」


美咲は、恐る恐る呟いた。


向こうから、深々と帽子を被る不審な男がやってきた。誰かを待ち伏せしている様子だ。


向こうから、ロングヘアーの美人がやってきた。明美だ。


俺の知ってる明美は、既に目が荒んでいたが。この頃の明美の目は、意気揚々としていた。


やがて、電信柱に隠れていた男が明美をジッと見つめながら虎視眈々としている。


こいつだ。こいつが、明美を襲った真犯人だ!俺たちは、三人がかりで男を捕まえた。


「おい、こんな所で!何やってるんだ!」


と、カズが怒鳴る。


挙動不審な男は、「あっ・・ああ・・」と声を出した。


カズが、男の帽子を勢いよく取った。


谷口か・・?

いや・・違う・・。


この男は・・。


「小池・・何故ここに・・。」


カズが、目を丸くして驚く。


小池。

カズの友人であり、ご近所さんでもあり。俺たちのダンスメンバーの一人でもある。


小池は、既婚者で瑠奈という娘もいた。


カズは何故か


「なんかこの子。和風の顔してるよね。小春って感じの顔してるわ。」


と言い出して、勝手に小春と名前をつけて可愛がっていた。


どこまでも、自分勝手な人だなと思った。


ハンサムで、妻子もいて人望も高い筈の男が一体なぜ、こんな事を・・。


そして、そんな小池も数年後、大地震でこの世を去ることになる・・。


「こ・・この事・・絶対・・絶対誰にも言わないで・・」


小池は、ガタガタ震えながら言った。


カズは、「どういうことか、説明してもらおうか。」と凄んだ。さすが、こういう時はFBIメンバーだなと思った。


俺たちは、このまま小池を連れて最寄りのスターバックスに行って話を聞くことにした。


「ごめん・・皆ごめん・・。俺・・」


小池が泣きじゃくって、顔を上げようとしない。


「泣けば済むってもんじゃねえだろ?

お前、今とんでもないことしようとしてたんだぜ?妻もいる。娘もいる。なのに・・何考えてんだ!」


カズが声を荒げた。


カズにとって、小池は俺と同じもう一人の大親友だった。


「自分でもわからないんだ・・。


ただ、妻とは、瑠奈が産まれてからはずっとセックスレスで。


そういう感情がもう持てないんだ・・。

でも、溢れ出す欲望が我慢出来なくて・・。


職場でも、何処でも俺はずっとエリートで・・。


でも、俺は・・ただの変態で・・。」


小池は、ずっと自身の中にある欲望が押さえつけられなかったのだ。


ハンサムで、優しくて誰からも慕われる人。


そのイメージをずっと周囲に持たれる事に、相当のストレスを抱えていた。


「お前の心情は知らんが、


お前が今からやろうと思ったことによって、人の人生が大幅に変わるんだよ・・。


人に、多大な迷惑かけるんだよ・・。」


カズは、辛辣な顔で小池に訴える。


本当にそうだ。

小池が、明美を襲った事で。


明美の人生が、一体どれだけ破滅に向かっていくかを俺は見てきたんだ。


軽々しく、自身の快楽の為に動いた行動がどれだけ人の心に負担を与えつづけるのか・・。俺はずっと見てきたんだ・・。


俺たちが、明美を小池から救った事で。

未来は大きく変わったはずだ。


俺と、明美は宗教になど入らない。

結婚することもない。(無理矢理)


でも・・息子の年也は・・

もう会えないだろう・・・。


産まれた所で、自由を結局巻き上げられる位なら、いっそ産まれなかったほうが良かっただろう。


産まれた所で、父親から愛されず。

婚約者さえ、勝手に決められる人生など。

いっそ産まれなかったほうが良かっただろう。


そう俺は信じることにしたんだ・・。ただ、俺の目には涙が自然と浮かんでいた・・。


あの事件の後、小池とカズは仕事の関係で東北に転勤になった。


俺も、同じ職場だったが呼ばれる事はなかった。東北には、うちのロボット開発会社の本工場がある。


出世コースの人間は、ここの開発部門のプロジェクトチームとして経験を積ませて貰える。俺も、本当はそこに行きたいとずっと思っていた。しかし、実力不足所か・・。リストラ候補リストにも載っていた俺は崖っぷちだったのだ。


きっと、この時に血迷った俺は、谷口の元へ助けを求めにいって・・。ポクポン教に洗脳されるようになったのだ・・。


カズは、契約社員だったものの高いスキルを持っていた為、応援に行くことになっていた。


ここで頑張れば、正社員になれるかもしれないという正念場だ・・。


どっちみち本業はFBIメンバーだった為、本業にあまり力を入れない男だったが、この時ばかりは少し違っていた。


おそらく、美咲とカズがいい感じになっていた事は知っていたし、美咲を俺から奪う為に、正社員になろうと頑張ってるのだろうと俺は睨んでいた。


そして、美咲が要領の悪い俺に段々愛想を尽かしていたことも肌で感じでいたのだ。


これから、数ヶ月後に、この2人はできちゃった結婚するんだ。美咲は、婚約者の俺を裏切って・・。あの頃の劣等感を、少しずつ思い出してゆく・・。


しかし、小池。カズ。


この転勤はダメだ。

あの頃は、俺自身もあんなに転勤する事に憧れていたけど・・・。


でも、絶対に行ってはいけない・・・いけないんだ・・・!


俺は、何度も2人に転勤を取り下げるように話をした。


2011年3月11日。

東北で大きな震災が起きる。


小池は、この地震で死ぬ。

美咲も、この地震で死ぬ。


隣に住んでいた(社宅の為)カズは、小池の娘と、自分の娘を抱いて逃げ切るが。


カズの正社員への道は閉ざされ、此処に戻った頃には、職も無くなる。


ホームレスとして娘2人を、河川敷で育てるようになる・・。


この頃、悪魔の心を持っていた俺は「ざまあみろ。俺を裏切った天罰だ。」

とさえ、思っていた。


しかし、今はどうだ?愛していないとはいえ、一度は妻と子供を手に入れた人生を経験してからの過去へのタイムスリップ・・。


好きとか、嫌いとか。そういう事だけが全てではないって思ったのは。明美や年也から、無償の愛を貰ってきたからだろうか?


あの頃と、今ここに立つ俺の心は違う・・違うぞ・・。


俺が、過去を変えたことにより年也は消えた。


息子のことなど、何とも思っていないと思いながらも、心は常に泣く日々が続いていた。


どんな命でも、無駄な命なんて無いと少しずつ思うようになっているんだ・・。


俺は、占い師を偽って、ネットに登場し東北の震災を予言するみたいな記事を書き続けた。全ては、たくさんの命を救う為だ!


何を言っても、聞いてもらえないならこうするしかなかった・・。



ネット上で、


「3月11日に、東北で大地震が来る。津波により、二万人に登る人が死ぬ。みんな、避難して欲しい。」


と、俺は預言者を装ってネット上に書き込んだ。


しかし、この頃はある有名占い師が、ちょうど大地震の予言を外したりなどしており、まるで誰も相手にしなかったのだ。


小池や、カズに「絶対、転勤話は降りるんだ。」と言ったが、


全く相手にしてもらえない。


未来は全て見えているのに、運命とは変えられないものなのか?


俺は、一体何しに此処へ来たのか・・。


全てを知った上で、どうすることも出来ない事の無力と無念さに、俺は、押しつぶされそうになった。


しかし、この頃。美咲が、俺にとんでもないことを話しだしたのだ。


「あなた。子供出来たの。あなたの子よ。」


なんだって?ちょうどこの頃、美咲はカズと出来ちゃった婚をする筈だ・・。


俺と二股かけていた美咲が、俺を裏切って、カズについて東北に向かって、そして地震で死ぬんだ・・・。


まさか。俺が、美咲に捨てられた時・・・。俺は、谷口に洗脳されてネットワークビジネスを始めるようになり、そのまま、谷口が主催の宗教に入信していった。


そんな俺の姿に不安になり、美咲は、俺の子を妊娠しながらも。


カズに相談していくうちに、カズに取られてしまったのか・・。そんな・・・そんな・・・。


「名前は、もう決めてるの。

男でも、女でも小夏にしようって思ってるの。


小池君の娘さん、瑠奈ちゃんだけど。カズ君が小春って名前勝手につけちゃって。瑠奈ちゃんも、小春って名前気に入ってるみたいなの。


でも、もう小池君の夫婦ね。何年も、瑠奈ちゃんの誕生がキッカケでセックスレスになっちゃって。


瑠奈ちゃん。いつも、兄弟欲しいって言ってたから。


この子が、瑠奈ちゃんと仲良くなれたらいいなって思って・・」


美咲と俺の間には、子供がいたのだ。俺から美咲が離れたのは、全て俺のせいだったんだ。


俺は、なんでそんな事に気づかないまま。

ずっと、こうして二人を恨み続けていたのだろうか・・。


自分で自分が悔しくて悔しくて、たまらなかった・・。



それは、小さな勘違いから大きな溝を生むこともある。


大切だと思えば、思うほど。

信じて入れば、信じているほど。


些細な事が大きな歪をなり、返って来る。


どうしてなんだ。

そんなはず、あるわけがない。


俺は、お前を信じていたし心から愛していたんだ。


そして、親友よ。

お前を今だかつて疑う事など、一度もなかった。


この時ばかりは、

いっそ何も信じないほうが、幸せなのではないか。


裏切られて、悲しむことなど無いのだからと思った程だ。


しかし。


実は、裏切られたと思っていた積年の想いは全て、自分の勘違いだったのだ。


婚約者の美咲が身ごもったのは、俺の子だ。


もう一つ違う人生で、カズは何故美咲と結婚したのか。


俺が、ネズミ講にハマり。そして、ポクポン教に洗脳されてゆく姿に、美咲が恐れをなして、カズに相談していたからだ。


カズは、小夏が俺の子だとわかっていたんだ。


それでも、育てようとしたんだ。不甲斐ない俺の代わりに。


俺は、自分の思い通りにいかなかった人生を全て人のせいにしたんだ。


失敗には、必ず自身にも原因があるんだ。

俺は、己を振り返るコトすらせずに。


ただ、ポクポン教に祈りを捧げる事で。


全ての出来事を、別の何かに責任転嫁していたのだ。


しかし、今ここで俺が何を反省しても。

これから始まる地震を防ぐことも人々を守ることも、


何も出来ないのか・・、俺は・・。


唯一、運命が変わりそうなのは、美咲が俺の嫁になった事だった。


前回の運命なら、美咲はカズと結婚したため出張先の地震で死ぬ。


しかし、今回は俺がポクポン教に入信しなかったことから、美咲は俺に不信感を抱くことなく結婚・・。


いや、結婚・・・?まてよ・・・。カズと、小池を地震から救う方法を思いついたぞ。


3月11日。

俺は、地元で美咲と結婚式を挙げる。そうすれば、出張先の俺の職場のメンバーはせめて助けることができる。


カズも、小池も・・。本当は、もっと沢山の人を救いたい。しかし、ネットで占い師になりすまして書き込んでも、誰も信じようとはしない。


どうしたら、いいものか・・・。運命をわかっていても、どうすることも出来ない虚しさに俺は連日苦しんで、眠れない日々を過ごした。


それでも、俺と美咲は3月11日の結婚式に向けて、動き出していた・・・。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る