第１回ギャグ・コメディー掌編小説コンテスト

お題：「６」

No.1

６は不遇な数字だ。ラッキーセブンには一つ足りない。片手で数えるには一つ多い。キリスト教世界では不吉な数字ですらある。悪魔を呼ぶのは六茫星で、６が三つ並べばオーメンだ。

日本でも６月は不遇である。５月のように連休もなければ、七夕のようなイベントもない。現代の６月は水無月というが、実際は梅雨時のど真ん中ではないか。これほど水気を意識させられる月もない。

かの名作「サイボーグ００９」でも００６は微妙な立ち位置にいる。彼の最期をご存知だろうか？　彼は敵に痛烈な蹴りをくらい、体内で炎が爆発して吹き飛んでしまうのだ。なんとも気の毒な散り様ではないか。

もっとも、カメラマンたる私にとって６月は笑顔の日々である。結婚式場のつまみは食べ放題。被写体は笑顔。当然私も笑顔でシャッターを切る。そしてニコニコしながら、密かに「リア充爆発しろ」と唱えるのである。６滅ぶべし。慈悲はない。