第2話謎の空間
寝ている間に気持ち良い浮遊感を感じていた気がする…。
そう思い目を薄く開くと、それは真っ暗な何もない空間だった。
予想外の出来事に戸惑い、寝ぼけていた思考もすぐ覚める。
自分は寝る前何をしていたのだろうか?
ここは死後の世界で自分は睡眠の最中に死んでしまっていたのだろうか?
冷静に思考を巡らせていると、
「目が覚めたようだな」
いきなり後ろから男性の声がする。
急いで背後を見ると、全身をモザイクのような何かで覆った不思議な人がいた。
人ということは判別できるのにその他の情報は何も得られない本当に不思議な人。
「誰…ですか?」
ぶっきらぼうな口調で話してしまいそうになったが、知らない人なので敬語を付け足す。
「私は神だ。お前をここに攫ってきたのも私だ。」
神という言葉を疑う余地はなかった。
謎の空間に不思議な人、この条件があると信じる他ない。
「何故、そのようなことを?」
「何故…か…。一番の理由としては私の暇つぶしだ」
『暇つぶし』その言葉に度肝を抜かれる。
流石神様だ。人一人攫うことなど、神にとっては普通のことなのだろう。
「このような会話に時間を使いたくないのでな、簡単に言わせて貰う」
「私は地球から最も性格が捻くれた者を5人集めた」
他にも4人同じ境遇の人がいたのか…
だがそれよりも重要な事が一つある。
何故その捻くれた者の中に自分がはいっている?
自分が普通ではないのは理解しているのだが…
「お前はそれには当てはまらない。4人までは適している者がいたのだが1人見つからなく、ランダムで選んだのだ」
なるほど。捻くれた者という所を選んだのも、恐らく面白いからだろう。
神様も飛んだことをしてくれるものだ。
「お前達5人を勇者として異世界へ転移させる。その異世界は魔王に脅かされており、そいつを倒すのがお前達の仕事だ。」
よくあるゲームのような世界なのだろう。
だがこの神様が一つの世界を救うような事をするだろうか?
「強制ではない。異世界に行く事は確定しているが、魔王を倒すのは自由にしろ。お前達を呼んだのは私が楽しむ為なのだからな」
まぁ、そんなことだろうとは思っていた。
捻くれている者を呼び、それを観察して楽しむのだろうな。
「……」
だがいきなり神様が口と思われる部分に手を当て何かを考え始めた。
ここで『どうしたのですか?』と聞くほど馬鹿ではない。
相手は神。何か機嫌を悪くすればそれこそ首が飛ぶ。
「…そうだな。変更だ。お前達を召喚の間ではなくではなく、世界のどこかへバラバラに転移させる。せいぜい私を楽しませろ。」
「え?」
思わずその身勝手差に声をだしてしまった。
「説明はもうない。征くがいい」
その言葉を聞いた途端、スイッチがオンになったかのように目眩が出始める。
昨晩寝たときに起きた目眩に近い…
そう思ったときにはもう意識はなかった。
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