魔物の蔓延る一億年後の地球で逃亡生活を送る

@aroraito

第1話プロローグ

「楽しみがない」


それが自分の口癖だ。

新井夜月という名を持ち、今年で高校2年生になるが、人生に楽しみを感じられなかった。

小学生の頃は周りの子供と比べても普通の子だったし、普通に楽しく暮らしていた。

今までで親が死んだとか家が火事で無くなったとかそういった事があるわけではない。

ただたんに楽しみを感じられないというだけだ。

自分の心がひねくれているだけだろう。


何故そうなったか、それは小学6年の時、俺は恐らく反抗期のような時期に入っていた。

その頃は何をやってもつまらなかった。

趣味だったゲームはいくらやっても楽しくなくて、暇を持て余していた。


中学生の時には読書にはまった。

理由はweb小説を見つけたからだ。

ゲームという一番の趣味を失った以上、それが最後の楽しみだった。

だがそれが唯一の楽しみだったがために、一年が立つ頃には大体の小説は読み尽くしてしまっていた。

それから現在まで家に帰っても楽しくない日々を送っている。


◇◇◇◇


今日は平日のため、もちろん学校があった。

相変わらず人生に楽しみなく、つまらない人生を送っていた。

いつも通り起き、いつも通りに学校に行く。それだけの行動なのにとても面倒くさかった。

学校まではおおよそ30分、たまたま家が近く歩いて通学ができる距離だ。

一緒に行く友達なんていないし、中学からは時間があるときは読書を常にしていたし当たり前である。

だが、孤独なことに苦痛は感じていないし、そもそも友達など必要ないだろう。

そうこうしているうちに、学校についていた。

靴を履き替え、階段を登る。

そして突き当りを曲がり、教室のドアを開ける。

もちろん中には人がいたが、教室に入った自分には見向きもしない。

俺はそれを気にせず自分の席につき、読書を開始した。


◇◇◇◇


今日も退屈な日だった。

俺は家に向かって歩きながらそう考える。

普通の生徒ならやっと帰れると喜ぶ場面なのだろうが自分に至ってはそんなことはない。

課題を終わらせすぐ寝よう、そう思いながら家の中に入った。


「おかえり」


俺が帰ったことに気づいた母がドア越しに自分に言うがそれを無視して階段を登る。いつも通りの日常なので母も気にする素振りはない。

そしてやっと自分の部屋にたどり着いた。

本当に退屈な人生だ。まず初めにそう思った。

すべての行動が面倒くさい。いつもそうなのだが、今日は増してそう感じる。

自分の体は自然とベットへ行き、そこに倒れた。

今までの疲れがなくなるかのように、とても楽になった。

だが、その気持ちよさに負け課題のことなど頭から抜けて俺は寝てしまいそうになる。

どんどん意識は遠くなり、自分は深い眠りに落ちた。

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