紅色 ~傷~ 18
「ふっ!甘いぞ!甘々だぞ
「な、
「……斎藤」
「だから、見せてやる!僕の、僕の決して諦めたりしない心が示す黄金の
「──!こ、これは斎藤の体からさっきとは比べものにならない程の
「
「
「そうだ佐藤!そして、これが僕の最後の奥義の
「何て
「これで、終わりだ佐藤──────!」
「これで、終わりだ斎藤──────!」
「「おおおおおおおォォォォォぉおお!!」」
斎藤が打った羽を佐藤は空振りした。
「ま……まさか、この俺が負けるとはな。ふっ、強くなったな斎藤!」
「あ、ありがとうございます佐藤……いや、師匠!!」
二人は戦いの後の暑い握手を交わし、互いに笑顔を浮かべ、史上最大の好敵手に賞賛を送り合う。
二人は地面に置いたバトミントンのラケットと羽を持ってその場を去った。
「グラウンドで五月蝿いアイツら何やってんだ?」
「バトミントン」
と、俺こと
「……あんな奇声みたいな
「モチのロン」
「いやなぁ〜、昼飯を同じクラスの友達と食べてトイレに行った帰りに運良くアイツら、斎藤と佐藤がグラウンドの方で騒いでたから窓から見ると、こりゃまたビックリ、ただバトミントンしてるだけんなんだよ」
「そりゃまたビックリな出来事だな。それも斎藤と佐藤の台詞も台詞だからな」
俺も最初斎藤と佐藤のあのやり取りを見たときは流石に目玉が飛び出るかと思った。「喰らえ僕の腕を
魅力されかけた、ってのは斎藤と佐藤がやっているのは結局のところ何かしらの物事に自分達が考えた台詞を設定を組み込む作業だ。
つまり、傍から、傍観者の俺には佐藤と斎藤は中二病な発言をしてそれに合っている動きをして遊んでいる……風に見える。
「いや〜、今時にあんな風に子供じみたことしている奴いるだな。俺も小学生のころにやってたわ。ほら、〜戦隊とか、〜ライダーとかさ」
「そうだな。俺もしてた。あんな風に何かの真似事していると真似した相手と同じになれるんじゃないかと薄い期待していたな」
昔、まだ小さかったころの自分を思い返して少し頬が緩む。
「でも、葉柱はこの学校に入学当初からいるんだろ?なら、何で斎藤と佐藤のあのやり取りを知らないんだ?あいつらには悪いけど、そこそこ有名だぜ。ネタとしてだけどな」
俺はこの私立
俺は前者の小学生のころに中学校に受験してそのまま高校へとエスカレーターで上がってきた。
俺が二年C組。
「俺ってさ、ここの高校に入学した当初は今ほどはっちゃけていなかったんだよ」
葉柱はそう言うとどこか懐かしそうな雰囲気で「うんうん」と首を振る。
「意外だな……」
この果柱って男は一言で言い表すとチャラ男に近い人種だ。そんなチャラ男モドキが1年ちょっとでここまで変わるものなのかと疑問に感じた。
「高校一年の俺はとにかく引っ込み思案で、クラスの新鮮な空間に中々
そうだろうか?俺には良くわかる感覚だ。新鮮な空気は時に人を
俺も……そうだ。
「それで、アレだろ。休み時間や昼休みの間には本屋でブックカバーを付けてもらったラノベを読んだり、寝たり」
「そうそう。そんな感じに、何とか周りに自分は暇を持て余してないってアピールをしてたんだよな。……結局最後はクラスの楽しみの空気に負けて、誰か話してこいっ、て期待してしまうんだよな。はぁー」
葉柱は大きなため息を吐く。高1の自分を今更ながら後悔しているのか、黒歴史に登録して恥ずかしがっているのか、まぁ、後の祭りだよな。どれだけ、黒歴史を悔いたって。
「よく、そんなThe インドア派の果柱が今のチャラ男モドキになれたな。人は変わるって言ったって変わりすぎじゃね?」
「……モドキって、
そんなじと目で俺を見るな。
2次元の美少女に見つめられるならむず痒さを我慢して快く受け止めるが、男の、それも3次元の男に見つめられても気持ち悪さしか起きない。
……どこかに俺の美少女ヒロインはいないものか。
「お前が友達でも若干薄情なところがあるのはここ最近で気付いたから、まぁいいや。それより、お前の方は大丈夫なのか?」
「ん?何が?」
突然の返し。突然の質問にビクッとするが、すぐに頬を緩ませ、普通に笑ってるような顔を作る。
「何がって、お前のクラス奴に聞かなかったのか?昨日、人口都市に『切り裂き魔』が出たって、ニュースでも取り上げられてたぞ」
葉柱のその言葉に眉に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます