第3章_4 ハルの温かさ


東京に戻った私は陽斗くんと連絡を取り合うようになった



そして、

何度か会うようになり、少しずつ距離が縮まってきてた



「陽斗くん、仕事どう?」


「んー、結構、きっついなぁ」


「そっかぁ、まぁ、頑張れっ」


「っんだよ、先輩面してさぁ」


「だって、先輩だもーん」



くしゃくしゃと俺の頭を撫でる幸世さん



「幸世さん…先輩じゃなくなってくれる?」


「ん?それ、どういう意味?」


「だから、先輩じゃなくて、俺の…彼女になってよ」


「はる…とくん?」


「幸世さん、俺のこと嫌い?」



大きく首を横に振る



「じゃあ、好き?」



「陽斗くん、私…」



「うん」



「好き…だよ」



そう言い終わると同時に目の前に陽斗くんの広い胸が近づいてた




「幸世…さん

俺…あの木の下で会った時から好きだったのかもしれない」




腕を緩めて髪をそっとよけると唇に触れるだけのキス


おでこを彼の胸につけると

頭上から少し甘えた低い声が響いた




「ねぇ、もっと…したいんだけど」



「え?…うん……いいよ」




彼の首に手を回すと

初めは優しく重ねた唇が角度を変える度に強く、ゆっくり絡められた舌にこたえるだけで息が出来なくなる



「ふっ、はる…とくん」



肩を押して見上げるといつもと違う目

そんな目で見られたら…

身体の力が抜けてしまう



しがみつくように彼の背中に手を回すと、しっかりと抱き止めてくれる




「くんいらないよ…陽斗…ハルでいいよ」



「ハル?」



「幸世、大好きだよ」




私も…たぶん、あの時からあなたのこと好きになってたのかも




「ふふっ」


「なに?俺、何か変なことした?」


「うううん」


「ねぇ?何で笑ってるの?」


「何にもないよ、陽斗くん、あっ、ハルのここがすっごくあったかいなぁって嬉しかったの」



彼の胸に掌をあてると、恥ずかしそうにくしゃって笑う



「じゃあ、ずっとこうしてよ」



そう言うとまた長い腕を広げて包んでくれる



「ずっとは無理でしょ」



「うーん、じゃ、もう少しね」



「うん」





彼の腕の中に包み込まれるように抱きしめられてると、何もかもが守られてるような温かさを感じられた



そう、初めて会った時に感じた優しい秋風と同じ


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