第3章_2 あったかい笑顔
「あのー、お名前聞いてもいいですか?」
振り向いた彼がまたにこりとした顔を見た瞬間
「ドスッ、きゃぁー」
「大丈夫?」
「だ、大丈夫…」
「山、来るのにこの靴はダメだよ~」
「あっ、でも、この木だけ見ようと思ってたので」
「そうだけど、ここまででも結構歩いたでしょ?」
「まぁ…」
「はい」
差し出してくれた手に伸ばそうとしたけど足に痛みが走った
「いたっ」
「ん?捻った?」
「みたい…です」
「じゃあ、はい」
背中を向けてしゃがんでくれた彼
「えー、いいです。そんな今、会ったばかりの人に」
「ハハハ、じゃあ、ここでいますかぁー?」
「でも…」
「いいから、早く」
「ごめんなさい、重いですけど」
そっと彼の背中に身体を預けた
「よいっしょっ、
あっ、さっきの」
「さっきの??」
「名前」
「あー、そうですね」
「俺は陽斗っていいます、あなたは?」
「私は幸世です」
「ゆき…よさん?」
「はい。幸せに世界の世で」
「へぇー、何か幸せになりそうな名前ですね。エヘヘそのままか」
後ろから見える彼の目を細めた優しい顔が歩く度に近付き、ドキッとした
背後に広がる暮れゆく山の景色が綺麗に染まっていたことなんて気にもとめず、私は出会ったばかりの彼の背中の温もりに胸の鼓動が早まってた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます