第2章_last これから歩く道
「もしもし、リュウ?」
「おー、カズ、久しぶりだな、元気か?」
「元気だよ。リュウは相変わらず、元気そうだな」
「ハハハ、まぁなぁ」
「奥さん順調か?もうすぐだったよな」
「そうなんだよ、女の子らしいんだ」
「そっかぁ。リュウ、めちゃくちゃ、過保護になりそうだな」
「そりゃあ、女の子だからな、もう、今から心配で……っで、何だよ、カズから電話かけてくるなんて」
「俺……結婚することにしたよ」
「そうかぁー!良かったなぁ。おめでとう!!やっと、カズも」
「声デカイって(笑)」
「嬉しいよ。ほんとに……っ」
「リュウ?リュウ?泣いてんのか?
お前が泣いてどうすんだよー」
「だって、カズ……お前」
「リュウ、俺な、心のどっかでノンのこと引っ掛かってた。
でも、ノンも幸せになったんだとわかって…」
「何で、ノンもカズもお互いそんなに思いあってるのに一緒になれなかったんだろう。
お前ら不器用過ぎるよ。
辛過ぎるよ、ウッ」
「だから、リュウ、泣くなって」
「泣いてねぇよ。
うん、そうだな、ノンも前を向いて歩いてるんだ。
カズ、お前も幸せになんないとな
相手の人はどんな人なんだ?」
「どんな…か?
んー、ずっと一緒にいたいと思った
すっげぇ、あったかい、
うまく、言えないけど……」
「それでいいんだよ。
一生共に歩くって、難しく考えることじゃない。複雑に考えてしまうから、細かいことに躓くんだよ。
ほんとはすごく単純なことなんだよ」
「何だよ、リュウ、真面目に。らしくないこと言うなぁ」
「へへへ、まぁ、俺の方が先輩だからな」
「そうだな。リュウ、ありがとう。
今まで……ありがとう」
忘れられない思いがあるとしたら……
それは消してしまうんじゃなくて、
心に少しだけ色をつければいい
そんな思いをたくさん持つ人はたくさんの色を……。
1つしか持たない人は1色
ただ、それだけのこと
無理に色褪せさせることなんかない
きっと、
その思い出は今を精一杯生きていれば
鮮やかに彩り続ける
それでいいんじゃないか
なぁ、理子
そんな風に思えるようになったのは、
お前と出会えたからだと思う
「カズ、今度ね、行きたい場所があるの」
「何処、行きたい?」
「カズの思い出の場所。私も行きたいの」
「理子、でも……」
「私も満点の星空、見てみたい」
「……わかった、行こうか、さっみぃーぞー」
「いいよ、カズが側にいれば寒くないよ。
…………あれ?なぁーに?照れてるの?」
「うっせぇなぁ」
照れ隠しに後ろから抱きしめた
理子が側にいれば、ほんとに寒くないだろうと思った
今まで先に見える道を見ようとせず、振り返ってばかりいた
でも、この先、
泣いたり
笑ったり
怒ったり
理子と一緒に歩く道が……
楽しみになってきたよ
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