第2章_8 見えない心、 知りたい気持ち
カズに手帳を届けて仕事に向かった
1日中、ポケットに入れてしまった紙切れのことが頭から離れなかった
仕事が終わっても真っ直ぐ帰る気になれず……
「もしもし、武田くん?お疲れ様です」
「理子ちゃん、どうしたの?」
「ねぇ、これから時間ある?」
「うん、大丈夫だけど、畑野さんも一緒?」
「彼はいない」
「えー、理子ちゃんと二人で飲みに行ったら、畑野さんが……」
「いいからっ、待ってるね」
「わかったよ。相変わらず強引だよなぁ」
(理子ちゃん、何かあったのかなぁ)
俺は彼女が待つ店に急いだ
「ごめんねぇ、武田くん、急に呼び出しちゃって」
「いいよ、何があったの?畑野さんのこと?」
「いきなりぃー?別に彼のことだって私言ってないよ」
「わかるよ。俺に用事だなんてそういう話しかないでしょ」
「……うん」
「っで?」
「何が……って訳でもないんだけど、彼ね、どっか、引っ掛かってることっていうか……気になってることが……」
「昔の女のことが気になるとか?」
「う、うん、まぁ、そんなとこかな」
「それはちゃんと話した方がいいよ」
「でも……」
「理子ちゃん、もっと自分に自信持っていいと思うよ。
畑野さん、理子ちゃんと付き合うようになってから、ほんっと変わったんだから」
「そうなの?」
「そうだよ、何か引っ掛かってるのなら、
面と向かってちゃんと聞いてみたら?
畑野さんも誰かにすべてをさらけ出したいと思ってるんじゃないかな。
……きっと、理子ちゃんになら、心を開くような気がする。
そうしないと、いつまでもそんな風じゃ、お互いしんどいでしょ?」
武田くんの言葉が胸に刺さったら
彼の側にいたい
離れたくない
素直に……ならなくちゃ
「そうだね、私話してみる」
「その調子、じゃ、飲もっか」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
誰かの心が知りたい
そう思うならば、
先ずは自分の心を開いて
相手と向き合うことが大切なのかもしれない
愛する人の心は
愛すれば愛するほど
知りたいと思うものだ
ノン❄
~~~~~~~~~~~~~~~~~
俺は昼に手帳を届けてくれた時の理子の固い表情が気になった
何かあったのか?
早めに仕事を切り上げて帰ったが、理子はまだ帰ってなかった
手帳……?
慌てて、裏表紙を見ると挟んであったものが見当たらない
やっぱり……そう思った時に、電話が鳴った
「もしもし?なんだぁ、武田かぁ」
「なんだぁ、じゃないですよ、理子ちゃん、酔っぱらっちゃって……畑野さん迎えに来て下さいよ」
「理子が?わかった。すぐ行く」
「理子、何してんだよー」
「あっ、カズ、どうしたの~?」
「どうしたの?じゃないだろ。ほらっ、帰んぞ」
ふらつく彼女を抱えて帰った
玄関を入ると理子は俺を避けるようにさっさとソファに座った
「理子、俺に話したいことあるんじゃないか?」
「……」
俺は彼女の前にしゃがんで、両膝に手を置いて見つめた
「……理子」
「ごめんなさい……私、これを勝手に」
彼女の目からとめどなく涙が溢れた
思わず、抱きしめて背中をさすった
「俺の方こそ、ごめん。
理子…お前、無理してるだろ?
無理して、平気な顔してた」
「ちが…う」
「違わない、俺の煮え切らない態度に我慢していたんだよな。
こんな古いもん持ってたら、気になるよな。
理子……俺の話聞いてくれるか?」
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