第34話 B級映画ならよかったのに

 足はそこまで硬くなかったのか、仕組み的な弱点なのか、まさかとこっちが驚くほど、ロボが足先から小爆発をぼこぼこ起こして壊れていった。男を捕獲しないといけなかったけど、脱出装置の飛んでいった方向が爆発で見えなくなった。そして、そこの壁が大爆発した。


 ものすごい煙と炎で、さっき以上に視界が遮られる。とっさに機装でゴーグルを作っていたので私は何ともないけど、『管理者』の子は抱きしめたときに向こうを向いていた一人だけ、煙が染みて泣き出してしまった。


 泣いた子をなだめ終わって再び目を向けると、壁じゃなくて、さっきまでの三倍はあろうかという、ほとんどの部屋でぎりぎりの高さのめんどくさい大きさのロボがいた。そういえば教科書のおっさんは無視してたっけ。乗り換えたのか変形合体なのかわかんないけど何でもうこんなに鬱陶しいのか。


 でかすぎて同じ作戦は使えないし、そもそもあんなちゃちい挑発、見てた上であえて乗ってくれる親切な奴はいないと思う。


『総統!申し訳ありませんッ!!』


 男の通信がうるさい。声デカイ。しかも男が歌いだした中身が、知りたくないことのオンパレードだった。

 この『塔』、男が最高権限を持っているのではなかった。『管理者』より男が上。男よりもあのおっさんが上位になってる。そして、最高位にふさわしく(?)、本物の一部を使った合成人間がめのまえのあのおっさんなのだった。男の詩で、『管理者』もおっさんを援護する歌に加わりだした。




 おっさんは、自分が本人でないことも合成人間なことも承知で、自分が世界史のあの人物として世界に君臨するのだと演説しだした。分かったのは機装のおかげだよ。




 どこからか勇ましい音楽がかかり、天井が塔を中心に花びらのように開いていく。同時に周りの部屋への通路が遮断され、空気が抜けるのに合わせていろんなものが上へ上へと飛んでいく。床も揺れて、どんどん昇っていくことに気付いた。とうとう、開いた天井から塔ごと飛び出した私たち。

 『塔』を天辺に生やした、月の半分くらいの直径がありそうな超巨大としかいいようのない丸いUFOの上部に立っていた。


 上がってきたサユちゃんを経由して駆け付けた後輩に『管理者』を任せ、私たちはロボとUFOの破壊のため動き出した。

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