金髪ポニテが大変な事になってるんだが!?

 次の日、凛汰郎とアリアは街の外で今日も今日とてモンスター狩りをしている


 今日の狩り対象は以前狩った筈の化け蛙ジャイアントトードが大量発生した為、今度は新しいスキルを試しながら狩っていた



「アリア、何だかいつもよりも調子が良さそうだな 何かあったのか?」


 アリアの動きが昨日とはまるで別人の様であり…魔法で作ったツタもヌルヌルと蠢いて蛙を絞め殺していた


「はい、この服を着てからとても動きやすいのでございます…身体の動きに抵抗なくフィットする感じで…とても気持ちが良いです」


 アリアはそう言って横目でツタを伸ばし、蛙を3匹同じに貫きながら笑顔を保つ


 白を主体に全身を包み込み、アリアのボンキュッボンのクビレもしっかりと映し出し…敵度に露出がある為、蒸れることもない通気性バツグンな感じで仕上がっている


「そうなのか、何かのバフでも付いているのかもな…」

「そう言えば俺の分の服貰ってなかったな…ギルドに報告するついでにレティーナの家にも寄るか」


 凛汰郎はそう言うと自身の周りに3本の刀を出現させ、それぞれの刀で蛙を切り刻み…見事な刺身が完成した



 凛汰郎達はある程度の数を狩った後、何匹かの身体を小型のナイフでギルドに売る用の素材を剥ぎ取った


 残った金にならない部位は自然界に生息する他のモンスターや、豚や牛等の家畜共に食料にされるのだ



 その帰り道、凛汰郎達は街に近付くにつれて異様な光景を目にする


 そこらに一角兎ホーンラビット化け蛙ジャイアントトード…その他にも雑魚モンスター達が死体となって転がっていた


 その光景自体は特におかしな事は無い、冒険者生活を続けていればよく見る光景なのだ

 だがしかし、冒険者が狩り尽くしたのであれば何故な剥ぎ取りを一切行っていない…


 少し前の凛汰郎達も剥ぎ取りを行ってはいなかったが……それはあくまで粉微塵にしてしまっていたのと、先ず素材を売れるのを知らなかったからだ


「アリア、どう思う?」


 いくら考えても凛汰郎の頭脳では皆目検討が付かなかった為、アリアに頼る事にした


「そうですね…腕試し…俺よりも強い奴に会いに来た…と言うような脳筋な冒険者」

「それともただ単に何かのイザコザに巻き込まれて死んだ…という所でしょうか」


 アリアの考察に思わず苦笑を禁じ得ない凛汰郎は一言呟いてその場を去っていった


「そんな【ス○II】の様な単純な奴ならまだ良いんだけどな……」



________________________


――おい、知ってるか? この近くで最近通り魔が出る様になったってさ

――知ってる知ってる、つい昨日も5人程被害者が出て…それが全員女性だったてよ


 ギルドの中は噂話で盛り上がっていた

 いつもは酒でベロベロに酔っ払い寝転げてる奴の一人や二人はいるのだが…今日は全員がざわざわと騒いでいた


「通り魔か…アリアも気を付けとけよ」


 凛汰郎は心配の言葉を投げ掛けるが、当のアリアは人類種ヒューマン如きには傷一つ付けられないと凛汰郎に言う


「犯人はもしかしたら他種族かもしれない」

「あまり過信し過ぎるといつか痛い目を見るからな……本当に気を付けてくれよ」


 凛汰郎がそう言うとアリアは何処か朧気な目を見せ、フフッと微笑む


 その後、凛汰郎は素材の換金を済ませ……レティーナの家に服を取りに向かった




 レティーナの和風チックな家に付いた凛汰郎は、扉を叩き留守かどうか尋ねる


「……いないみたいですね」


「そうみたいだな…しょうがないまた出直すか……ちょっと待て、何だこの臭いは…」


 凛汰郎はそう言うとレティーナの家から漂ってきた焦げ臭く嫌な臭いを感じた


「アリア、この世界で料理とかに火を使う時はガスを使うのか?」


 凛汰郎のガスという単語に首を傾げたアリアは違うと答える


「いえ、大抵の種族は火を扱う際には火の魔力を込めた【火の魔法結晶ラクリマ・フレイム】を使って火を起こします…街灯の灯りなども【光の魔法結晶ラクリマ・ライト】を扱っております」


「ですが、魔法結晶ラクリマが勝手に発動したりすることは無く…全て手動、もしくは遠隔操作でしか発動できません」


 アリアのその説明により、確信を得た凛汰郎は鍵のかかった扉をこじ開けた


「アリアは直ぐにギルドに行って火を消せる様な奴等を呼んできてくれ! それから教会に行ってあのシスターをここに連れて来るんだ!!! 出来るだけ早く頼む!!!」


 命令を受けたアリアは直ぐに転移のスキルを発動させてその場から消え去る


 凛汰郎は先に庭の池の水を被り、レティーナの家の中に入っていく



 中は予想通り火の手が回り、有毒なガスも家の中に充満していた


「レティーナ!!…ゴホッゴホッ…どこだ!!」


 凛汰郎は家中の襖を蹴り飛ばしレティーナを探し回る……すると、本当に微かな声だが…レティーナの声が聞こえてきた


 凛汰郎は直ぐに声が聞こえた方へ向かうと、レティーナは腹から血を流し倒れていた


「レティーナ!! 今助けるぞ!!」


 レティーナを抱き上げ、凛汰郎は右足に力を込めて家の壁を蹴り壊し外に出る



 庭に布を敷きその上にレティーナを寝かす

 出血が激しく、なぜ生きているのか疑問になる程であった


「このままじゃ…アリアがシスターを連れてくる前にレティーナの体力が持たない」

「……そうだ、俺の身体を巡るこの魔王の魔力を一時的に注げば少しは凌げるかもしれない!! それなら…」


 凛汰郎は気持ちを落ち着かせスキルを発動し【不条理な贈物アブノーマルギフト】を使い魔力をレティーナに与えようとした瞬間

 頭に激痛が走り目の前が真っ黒に染まった

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