爆乳シスターさんに助けられたんですけど!!

 世が明けて嫌気が差しそうなほどギンギラギンにさりげなく光る太陽が昇る


「それじゃあ行くぞアリア! 本来の城主の帰還だ!!」

「はい! 魔王様!」


 凛汰郎は張り切って神殿を出ていく、アリアはそんな凛汰郎の後ろ姿を見て…どこか尊いものを感じ笑みを浮かべる


「ところでアリア、あのリブレント城までどれくらいの距離があるんだ?」


 凛汰郎は、魔王様だとアリアに持て囃されてはいるが…普通に走れば息は切れるし眠くもなる…即ち基礎体力は普通の人間と変わりはないと予想できる


「そうですね…鼻歌交じりにスキップをしていれば直ぐに着く程度の距離でございます」


 アリアのその言葉を聞いてホッとした凛汰郎は言われた通り鼻歌を歌い、スキップを始め軽やかな足取りでリブレントを目指した…



 スキップを初めて…既に四時間が経過していた…凛汰郎は忘れていた、アリアは人間ではなく妖霊種デモーニアと呼ばれる魔族だという事を…


「はぁ…はぁ……ていうか…遠すぎだろ」


 凛汰郎は息を切らし、その場に倒れ込んだ

 直ぐ後ろに着いていたアリアは凛汰郎の身を案じて駆け寄る


「大丈夫ですか?! 今すぐ近くの川から水を汲んでまいります」

「ちゃんとわたくしが先に毒味をしてから浄水魔法にて殺菌致しますので…あっ、それともわたくしが直接魔王様のお口に…」


「とりあえず早く水を頼む……それと、口移しは却下だ」


 凛汰郎にあっさり否定されたアリアは少ししょぼくれた顔を見せたあと、真っ黒な翼を広げて川まで飛んでいった


 そんなアリアを見て…凛汰郎はとある事に気付き大きなため息をつく


――アリア…飛べるなら俺を持ち上げてリブレントまで運んでくれれば良かったんじゃ…


 凛汰郎はそう呟いて黄昏ていると…ガサガサと雑草を掻き分けて向かってくる何かを視認する


 それはプルプルとゼリーのような形状で半透明な青い身体、間の抜けそうな顔をして半開きな口元…

 ゲームをしていなくても知っている者も多いであろう…《スライム》があらわれた


 本物の生スライムを見た凛汰郎は目を輝かせ、スライムに手を伸ばす

 その触り心地はおもちゃ屋さんで売っているスライムとは訳が違う…いつまでも触っていたくなるような柔らかさ…触っていると徐々にスライムの体内に手が突っ込まれる


 中はひんやりとしていて気持ちが良い…夏場にはピッタリの品だろう…まさに一家に一匹スライムを…とキャッチコピーを売りたくなる衝動にかられてしまう


――あぁ…気持ち良い…このまま昇天しそうだ……いや、なんかだんだんと手の感覚が無くなってきたような…


 凛汰郎は恐る恐る手を見ると…ジュワァ~と音を立てて煙を出しているスライムの姿を確認できた…


「なるほど…俺を取り込んで消化してるんだな? う〜ん…このままだと死ぬのかな?」

「……って!! スライムに殺されてたまるかよ! くそっ…離れろこいつ!!!」


 凛汰郎は手を振り上げたり、地面にスライムごと腕を叩きつけたり等の様々な行動を取るが…取れる気配がない…

 そうこうしている間にもスライムは腕を飲み干していく、そして心做こころなしか無表情のスライムの顔がドヤ顔している様に思えてきた


「ギャァァァ!! 死ぬぅぅぅ!!」


 凛汰郎は死を覚悟して大声をあげる…異世界に来て早一日と数時間…いきなりGAME OVERデットエンド…冗談にしても悪質過ぎて笑えないものだ


「今助けます!! 《粘着生物撃滅の陣スライム・バスター》!!!」


 どこからともなく橙色のダイヤ型のクリスタルの様な物が飛んで来て凛汰郎の真上で割れる

 すると、凛汰郎の下に魔法陣が展開されスライムがみるみる内に溶けていった


「大丈夫ですか!? スライムさんに肩の辺りまで侵食されてましたけど…」


 恐らく助けてくれた人なのだろうか…だが、凛汰郎は長い長い道のりを歩いて来たのに加え、先程まで体力や体内の色々なモノを吸い取られたせいで限界が来ていた

――あ〜無理…なんか凄く…眠いや…


 その後、凛汰郎はスヤスヤと深い眠りに落ちていった




________________________


――え!? 入れられない? この人は先程までモンスターに襲われていたのですよ! 私が保証します、せめて教会で手当を……



 どれくらい眠っていたのだろうか、物凄い脱力感と共に激しい頭痛が襲ってきた


「目が覚めましたか?」


 白い修道服を着た女性が目覚めたばかりの凛汰郎の顔色を見る為に近付き凝視する


「あ、はい…おかげさま…で……」


 凛汰郎は言葉を失った

 その理由は…目の前に拡がる楽園パラダイスを少しでも脳裏に焼き付ける為であった


 一切の自重がないシスターの爆弾おっ○いは胸元が開かれより一層エロさが増している

 更に言えば神に仕える身として清楚感溢れる服装をしているにも関わらず谷間を露にしているというギャップに心を撃たれた


 そして…それだけに留まらずに男の息子を刺激するのは…その顔にある

 シスターは金髪の童顔であり男の中の欲望をさらけ出す凶器を持っていたのだ


 身長も高過ぎず…ましてやロリ並みの身長という訳でも無い

 だがしかし、出る所おっ○いは出て、引っ込む所お腹は引っ込んでいる…まさに男の欲望を忠実に再現された理想的体型だろう


「あ…あの〜…大丈夫ですか…って、鼻血が出ているじゃないですか!! 直ぐに治しますのでそのままジッとしていてくださいね?」


 シスターは立ち上がり呪文を詠唱し始める、恐らくは回復の呪文なのだろう


「《愛しき神の子らよ…今ここに集いて彼の者の傷を癒したまへ》」

「《聖母の祝福セイントマーズ・アンブレラ》」


 シスターの詠唱が終わると、全身の力が抜けベッドに再び横になる

 とても心地が良く…安らぎさえ覚える感覚に凛汰郎はついつい頬を緩めてしまう


「その表情を見ると…治ったようですね、良かったです」


 シスターはそう言ってニコッと笑う

 まるで凛汰郎の事を自分の子どもの様に思い、心の底からの快楽さえ思わせる声に凛汰郎ずっと声を聞いていたくなる


「よろしければこちらを…肉や野菜は入っていませんが…少しは暖まると思います」


 シスターはそう言って凛汰郎に手作りと思わしき暖かいスープを渡す

 凛汰郎はスプーンを手に取り一口啜る


「美味しい…」


 確かに具材は無いがシスターの愛情が込められた心温まるスープに凛汰郎は涙が零れてしまう



 そんな時、ドンドンドンと教会の大きな扉を力強く叩く音が教会内に響き渡る


 その音が聞こえると…シスターは怯えたような顔をして、心拍音が急上昇していく…まるで悪魔がやって来たと錯覚させる程の緊張感が凛汰郎を襲う


 シスターは一瞬扉を開けるのを戸惑うが…ゆっくりと扉を少し開けると、勢い良く扉が開き、外から太った男とそのお付のような黒い服を着た男達が入ってくる


「邪魔するで〜」


 太った男はそう一言言ったあと、教会の長い椅子にドスンと座り、出っ張ったお腹を主張する様に胸を張る


「シスターさんよぉ、いい加減覚悟を決めましたかい?」


 太った男はそう言って葉巻に火をつけ、シスターの顔に煙を吹きかける


「何度も言っているように…もうこの教会にはお金はもう…」


 シスターは下を俯き、プルプルと脅えている…その手はぎゅっと握られており何かに耐えている様子であった


「だから何度も言うてはりますやろ? シスターさん程の身体やったら高く売れますで? 変な意地張ってないではよ覚悟決めたらよろしいとちゃいますか?」


 太った男はそう言ってシスターのアゴを掴み、シスターの顔をまじまじと見つめる

 太った男は既にシスターを自分のモノだと妄想し始めニタニタとにやけ始める



「おい、いい加減にしろよ シスターさんが嫌がってるだろうが…」


 凛汰郎はシスターのアゴを掴んでいる男の手を掴み引き離した





________________________


 その頃、アリアはというと……


「魔王様〜!! お水をお持ちしましたぁ!!」

「魔王様のお口に入るのであれば良質なお水がよろしいと思いまして…隣のへブリッチ大陸にある【海麗種セイレーン】の都から奪って…あれ? 魔王様〜、どこに行ってしまわれたのですか〜?」


 神殿とリブレント国の間にある草原で凛汰郎の事をくまなく探していた

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