異世界征服を決意しちゃいました!!
アリアに手を握られた次の瞬間に景色が一変し、辺りは戦火に包まれ、大地が裂け空も真っ赤に染まっていた
「時は凡そ1000年程前…世界には全十二の種族が己の正義を振りかざし血で血で争う【大戦】がありました」
アリアはそう言って手をかざすと、一気に時が進んで行き遂には海が三分の一が枯れ、あらゆる種族の屍が大地を埋め尽くしていた
「そんな時、一人の【
そう話し終えると、空の赤黒い雲が割れ光が差し込み始めた
大地に緑が生え始め、海も元の美しい状態に戻っていった
「世界は…先代と魔王様を大戦の絶対悪と定めて…先代の魔王様が死ぬ事で…大戦が終わるように動かされたのです」
アリアは凛汰郎を握っていない方の手で、血がにじみ出る程まで拳に力を入れる
その瞳には先代の魔王を討ち取った人間への…否、
そして、辺りの景色が今度はまた見知らぬ空間へと変わっていた
全体的に黒く玉座があり、部屋中に血の跡が刻まれている…凛汰郎はこの光景からアリアに聞くまでもなくどんな部屋か理解した
「魔王の部屋…?」
凛汰郎がそう言うとアリアは正解と言わんばかりにニコリと微笑むと…今度は玉座に一人、その前に七人の男女が現れた
先代の魔王と…七つの大罪と呼ばれる従者達なのだろうか、何か話し合っている様子だった
『我等は…もう終わりだ…我はもうじき死ぬだろう』
玉座に座っている先代魔王がそう言って少し寂しげな顔をすると、目前に片膝をついている七人全員が思い思いの言葉を投げかけるが…
『だが…これで良いのかもしれん、この永きに渡る憎しみの連鎖を我一人の死で断ち切れのであれば…この命も安かろう』
先代の魔王はそう言うと、七人の男女全員にとある質問を投げかける
『選ぶがよい、我と共に心中するか…我を差し置いて新たな世界を見るか…』
先代の魔王はそう言って手をかざすと、そこに七つの徽章が現れた
先代の魔王の意思を察した七人の内、六人がその場から立ち…徽章を受け取り部屋を出ていった
『主は残ったか…《嫉妬のアリア》…』
「はい…魔王様…この命は既に魔王様に捧げております、魔王様が存在しない世界など…
先代の魔王はアリアを手招きし、ひざの上に座らせる…その間アリアは頬を紅潮させままであった
『アリアよ…我からの最後の命令を下す…』
『主は生きよ、そして我が息子を頼む』
先代の魔王はそう言うと…青い球体を宙に浮かべて話し始める
『こことは違う世界…チキュウのニホンという所に我が息子がいる…我の唯一無二の息子だ』
『新しき世界に…
先代の魔王がそこまで言うと…玉座の間の扉が開き…そこから一人の男とその仲間が入ってきた
『それでは…後は頼んだぞ…アリア』
「
アリアは下唇を噛み締め、入ってきた男とその仲間に激しい憎悪の視線を向けた後、その身を花吹雪に変え宙を舞って消えていった
アリアを見届けた後に先代の魔王は立ち上がり入ってきた男とその仲間達にこう言葉を投げかけた
『さぁ始めよう…
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先代の魔王のその言葉を聞いたあと、石の部屋にまた景色が変わる
「そして、先代の魔王様のご命令により…
アリアは凛汰郎の前に立ち、片膝をつく
「お願いします…この世界には貴方様が必要です…どうか、我等【
アリアは涙を零し、嗚咽混じりに凛汰郎に懇願する…それ程までに何かに追い詰めれているのだろうか
…だが、凛汰郎は言いづらそうに口を開く
「何かの間違いじゃないですか? 俺が…魔王だなんて…有り得ないって…ほら、誰かと間違えたとか……」
凛汰郎がそう言うと、アリアは一瞬俯き顔を上げて凛汰郎に根拠を説明する
「魔王様…いえ、今だけはリンタロー様と呼ぶ無礼をお許しください…」
「リンタロー様は昔からとある病に犯されていたと存じています…ですが、それは病などではございません」
アリアのその言葉に凛汰郎は驚きを隠せずにいた
――病ではない? ならば何なんだ?
「それは
「本来は
「何故その魔法が常に発動していたか…その理由はリンタロー様のお母様は…その…
凛汰郎は絶句した…突然異世界に召喚されて、突然こちらの世界の歴史のお勉強をさせられ…
さらには、自分の母が
「……だとしても、俺には荷が重すぎです…そんないきなり世界征服だなんて…」
凛汰郎はそう言って部屋から出ようとすると…アリアのポツリと小さく言った一言を聞き一瞬でアリアの前に移動してきた
「今…なんて言いましたか?」
アリアはニヤリと笑った後に小さく言った一言を復唱する
「え…あ…世界を征服すれば《
凛汰郎はアリアの手を握り、アリアの青と紅色の鮮やかな瞳を覗いて決意を露にする
「任せてください! 俺が世界を征服して…」
「両で想い想いのハーレムを作り上げる!! ハーレム王に俺は、なる!!!!」
どこからともなく《ドン!》と効果音が聞こえてきそうな勢いで宣言した凛汰郎は、立ち上がり既に妄想を始めていた
――お許しください…魔王様…
アリアはその言葉を飲み込み、今後の世界征服の為の作戦を脳内で練り始めていたのだった
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