悍ましき呪物と業深き人々の物語

 日常の陰にひっそりと存在する呪物と業に追われる人々の物語。
 派手ではなくどこか人生に寄り添うようなしっとりとした恐怖とザッピングする構成の連鎖に目が離せなくなります。
 雑多な文法でもなく表現力もしっかりとできあがっています。
 作者様の人生観や哲学が滲み出ているのでそれにも共感できました。ただ怖がらせるだけで終わらない一つの読み物として楽しめます。個人的には業を重ね続ける柳と空っぽの人生を生きる村寺の対比が構成的に美しくて好きです。
 今後の展開を楽しみにしていきたいです。

その他のおすすめレビュー

荒川 悠衛門さんの他のおすすめレビュー2