幕を開ける大合戦!

 あやふやな記憶で何だが、中国には常に統一に向かう本能があると言ったのは、酒見賢一さんだったと思う。三国時代、南北朝時代、五代十六国といくどか分裂の時代はあったが、必ず強力な勢力が誕生し、統一王朝を打ちたてた。
 国土の範囲はきわめて広く、ヨーロッパ全土に匹敵する。それだけの国土をまとめあげるのであるから、荒っぽいところがあるのはやむを得ない。戦いは激しく、敗れれば民は蹂躙される。

 今回の物語も、そんな戦乱時代の一つ。
 北方の強国、金の来襲に対して、宋の小勢力がどのように対峙していくのか。豪傑たちは、無謀な戦いに何を思い、何を賭けるのか。
 また金の攻め手は、立ち塞がる敵に対して、どのような思いを抱き、何のために戦うのか。

 人々の思いが入りまじった壮絶な戦いが堪能したい。

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