19話 イベント会場


イベント会場に着いた義経達は、初めての会場ともあり。

色んな冒険者のギルドの人たちを見て、少し参加するのも悪くないと思う義経。

その隣では桃太郎が嬉しそうに会場を見渡していた。


「ちょっと悠人さん達の様子が気になるから、君たちはここで待機して待ってて。」


フレデリックがそう言うと、ことねが「じゃあ俺はみんなの飲み物買ってくるよ!」と言うと桃太郎も「僕も運ぶの手伝います。」と言い。

ことねが「ありがとう、助かるよ。それじゃあ、義経は場所を確保しておいて。」と言い残すと、飲み物を買いに行ってしまった。

義経はことねに言われた通り、座る場所の席を適当に確保しておいた。


みんなが戻ってくるまで義経はスマホにあるニュースの記事を適当に見ていると"モデルのいおみんこと汐田庵美しおた いおみが2ヶ月の間行方不明だったのに、ついに発見される!?本人には怪我もなく至って健康の上、また1週間後には復帰するとのこと"という記事を見ながら義経は失踪事件解決したんだなーと軽く流しながらスイーツの特集ページを読み漁るのであった。


そして義経がスイーツに夢中になっていると、隣の席から気になる話が耳に入った。



「フッフッフッ、お主ら我を仲間に入れてくれて感謝するなり。まあ、我は来年にあの有名な名門校。冒険者養成学院の特待生クラスを受けるんだから、このイベントで好成績を残して我を有利的に導くでござるよ!我の為に働くなり!」



と言う、眼鏡をかけた老け顔の少年が1人でベラベラと喋っていた。

義経は少年の冒険者養成学院の特待生クラスという言葉が少し気になったが、後でフレデリックから詳細を聞けばいいかなと思う義経であった。


そして数分後、ことねと桃太郎が戻って来て。

その後すぐにフレデリックと悠人と彩里と寧々が戻って来ると義経が「参加申し込みに随分と時間がかかったな。」と言うと、フレデリックが「そりゃあ、ギルドに所属してない上、冒険者でもない人たちが参加出来るわけないでしょ。」と言うと義経は頭に疑問符を浮かべながら「え、誰でも参加OKじゃないの?」と訊いた。



「魔物討伐戦は冒険者かつギルドに所属してないといけないが、冒険者じゃない者が参加するには、条件としてギルドに所属する団長に許可の登録が必要なんだよ。それも最初の注意事項には、死の危険を伴うことがあります。もし仮に死んだとしても主催者及び関係者の我々は一切の責任を問いません。という条件付きでな。」



義経のあまりにも馬鹿な発言に真面目に説明をする悠人にフレデリックは「まあ、その辺の参加条件は、主催者の人と知り合いで参加出来るようになったよ。僕のおかげで。」と言った。

義経はフレデリックに「お前マジで何者だよ。」と言うと「ただの情報屋のフレデリックだよ。」と、いつものように返された。

義経は少し呆れながら「それしか言わねえな。」と言いながら義経は、今なら冒険者養成学院について訊けると思いフレデリックに「そういえば、冒険者養成学院について気になることがあるんだけど、特待生とかってあるの?」とフレデリックに訊いてみると、フレデリックは「あー、その事なんだけど。少し場所を移動しようか。」と言った。



義経とフレデリックは、みんなに少し席を外すと伝えると、会場からかなり遠い冒険者養成学院へとテレポートした。

学校にテレポートされた義経達はフレデリックのスキルで空の真上から学校を見下ろしていた。


「うお、ここが冒険者養成学院なのか。めちゃくちゃデケェじゃん!てか周り学校以外何もない田舎じゃん!」


義経が驚いているとフレデリックは「ここの高校は、より優秀な冒険者を育成する為に、敷地もかなり広めに作られているらしいよ。だから学校内にもショッピングモールからスーパーやコンビニは勿論。大きな病院もあるから、わざわざ都心に行かなくても大丈夫なように作られてるんだよ。」と説明すると義経は更に驚きながら「たかが高校生のガキの為に、そこまで金かけるか……俺の高校時代なんて女もいない、むさ苦しい男子校だぜ。しかも初めて出来た彼女に1ヶ月後に浮気された記憶が、あのクソ女め!金欠だって言うからお金を貸してたら、全部間男に使いやがって、地獄に堕ちろ!そして2度と人間に転生するな!!」と1人ネチネチと愚痴を言っていると「貸す方もどうかしてると思うけど、それよりも義経くん。君さあ、風雲児に入ろうと思うなら、やめといた方がいいよ。」とフレデリックが言った。



その話を聞いた義経は「まさか、名前がダサいからやめた方がいいってことか?」と訊いた。

フレデリックは苦笑いしながら「それもあるけど、そうじゃないんだよ。君はこれからこの場所で、新たな出会いと仲間が待っている。

その仲間たちは君にとって、信頼のおける大切な仲間になるはずだから、絶対に風雲児なんかに入っちゃダメだよ。」と話した。


「信頼のできる仲間……それって具体的に何人かって分かったりする?」



義経がそう言うとフレデリックは少し悩んで「まあ、それくらいなら教えてもいいか。仲間になるのは5.5人くらいかな。」と言うと義経は「え、5人じゃなくて5.5ってまたアバウトな人数だな。で、5.5人ってどういう意味なんだ?」と聞き返すとフレデリックは「それは会ってからのお楽しみという事で、それにこれ以上は機密事項に反するからね。」と言った。


「仲間を知りたければ、ここへ行けってことか。て事は2年後……まだまだ先じゃね。」


「だからその間に己を鍛えるじゃないの。」



フレデリックがそう言うと義経は「フレデリック先生。固有能力ユニークスキルのレベル上げてどうすればできますかね?」とアドバイスを訊くとフレデリックは、レベル上げ?と首を傾げながら「あぁ、限界突破の事ね。確かにレベルと言う人もいるけど、正確には限界突破が正しくて、この世界では4段回まで上げることが出来るんだけど、1段回目では魔力の火力が50パーから100パーの威力まで上げられるようになって、2段回目で自由自在にスキルの幅も増えてより強くなるよ。3段回目で120もの魔力を発揮でき、そして4段回目は覚醒能力と言って200もの魔力を解放できるけど、この覚醒はあまりお勧めできないかな。」と言うと、義経は「それってどいう意味なんだ?」と訊いた。


フレデリックは少し義経から離れると、右手から黒炎を出しながら解説を始めた。


「まず、この炎焼えんしょうの魔力に込められているのが50パーだとする。それを更に100パーの魔力まで上げると当然だけど炎の魔力も上がるし、大きさも変わっていく。ここまでは身体への負担は少ない。更にそれを120パーの魔力を上げると更に火力も増して、身体への負担が影響される。」



フレデリックが120パーの威力を上げたと同時に、炎の勢いも増して、義経は少し後ずさるように「いやいやいや、何なのその馬鹿でかい黒炎は……街一つ消すレベルはあるだろう。」と言うとフレデリックが「まあ、その程度なら余裕でできるけど、長時間使い続けると身体の細胞が崩壊していくから、使用する時は手短目に一発で仕留める事をお勧めするよ。」と説明しながら、最後の覚醒能力を使用した。


「そしてこれが、最後の限界突破。覚醒能力。」


フレデリックがそう言うと、今までのとは比べ物にならないほどの最大級の大きさの黒炎。

その勢いと風の強さで義経は目も開けられない状態で、立っているのがやっとという状態である。


「この覚醒能力は正直、僕もあまり使いたくないんだよね……何せ1分も持たないほど身体の細胞を破壊し、死へと……グハッ!」



フレデリックは直ぐにスキルを解除し、息を整えた。

その様子に急いでフレデリックの元へ駆けつけると「おい、大丈夫か!?あんまりって吐血してんじゃねえか!!今すぐ病院に……」と慌てる義経にフレデリックが「大丈夫、このくらいの程度。でもさっきの覚醒能力を見たでしょ。あれは人間の身体の器官を全て破壊していく程の力を持っている。もし、最悪敵わない相手がいたとしたら最終手段として使うのも手だけど、チャンスは一回のみ。それ以上は身体がもたなくなり、死体どころか塵として消滅するだけの最期を迎えるだけ。使う時は、状況をよく理解した上で使用した方がいいよ。」と、能力の限界突破について説明を終えた。



(そういえばあのクソサポーター、何も限界突破について教えてくれなかったから、フレデリックには感謝するよマジで。それに、もっと強くなる為にも色々と教えてくれる師匠が俺には必要だ。)


義経はそう思いながらフレデリックの手を握ると「今日からフレデリックのことを師匠って呼んでいいですか!いや、師匠と呼ばせてください!」と言うと、フレデリックは気恥ずかしそうに「え、僕が師匠!んー何だろう、初めてそう言われたからどう反応したらいいのか、よく分からないな。それに僕は……。」と言いかけたところで「ただの情報屋は聞き飽きた。だからさ、そういうの関係なしに、俺は師匠と弟子の関係でありたいんだよ。」と笑って言った。


その様子にフレデリックは一瞬驚くと、口角を少し上げ「正直、この結果には驚いたな。なにせ僕のラプラスには、こんな未来は表示されていなかったから。君ならきっと僕の願いを叶えてくれるはず、だって君は僕の弟子なんだから。」と笑って見せた。

そんなフレデリックをよそに義経は、少し気になる事をフレデリックに訊いてみた。


「師匠、気になることがあるだけど。ラプラスってピエール=シモン・ラプラスという人物が提唱した、ラプラスの悪魔だよな。確かあれって未来を予測するなんかだろ。」


義経がそう言うとフレデリックは「結構知ってるんだね。まあ、実際のラプラスは物理法則の計算で未来を予測するんだけど、僕の場合は確実なる未来の結果を示している。実際に見た方が早いかな。」と言うと、フレデリックと義経の周りに数え切れないほどの数字の羅列が現れた。


「何じゃこりゃあ!?もしかしてこの数字が未来を表しているのか?」


「そうだよ。全て語呂合わせの数字だけど、面白い事に未来だけではなく、現在と過去を知ることもできるんだよ。凄いと思わない?稔くん。」



フレデリックが義経の転生前の名前を言うと、義経は驚いた顔で「え、俺の前世までわかるの?じゃあ、その前の前世は何だったんだ!もしかしてイケメン王子だったりして。」と嬉しそうに話す義経に対しフレデリックは「あー、知らない方が幸せだと思うよ。」と、目を逸らした。


その反応に義経は「余計気になるんだけど!何、俺が稔になる前はそんなに酷い奴だったのか!?」と訊くとフレデリックは更に目を逸らし「酷いというレベルじゃないよ。もはや存在自体が犯罪者なんだけど、これ以上は僕の口からは言えない。まあ、強く生きて。今の義経ならカッコよく生きられるから。」と慰めるのであった。


「いや、マジで気になるんだが!どうしよう、そうだ俺のモテ期はいつだ?」


「それなら大丈夫だよ。モテ期は一生来ないし、彼女が出来る見込みも今のところないから、安心して。」


フレデリックがニコニコ笑いながら言うと、義経はかなり落ち込むように「それこそ隠せよ!余計俺が傷つくだけじゃん。」と項垂れるのであった。



そんな項垂れている義経を見てフレデリックは「この先の未来の希望は全て君にかかっている。どんな困難でもきっと君なら乗り越えてみせるはず。君と新たな仲間達が揃えば、流れはきっといい方向に変わるはずだから。でも、それを最後まで見れないのが残念だな。」と義経に聞こえないように話すフレデリックは、義経の所まで行き「それじゃあ、皆んなの所へ戻ろうか。」と言うと義経は「師匠、どうすればモテると思う?」と訊いた。

フレデリックは「モテるかどうかは分からないけど。まず、その腐った性格を直した方がいいと思うよ。」とまともな答えを教えてくれた。


その返答に「それは無理な話だな。」と、クソみたいな返しをした。



その後、皆んなの所へ戻った義経とフレデリックは、ことねに「随分長い連れションだね。糞が固まってたの?お尻の負担大丈夫?」と、何ともくだらない話に義経は「誰が便所なんて行くかよアホ。これからの進路について話してただけだよ。」と言うと、ことねは「なんだナンパしに行ったんじゃないのか。」と少し残念そうにしていた。


そして、いよいよ明日から始まる魔物討伐戦という名の暗殺ギルドの団長、綾燕との戦いが始まるのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る