20話 魔物討伐戦1日目


午前9時頃。

朝食を済ませた義経たちは、会場へと集まると、昨日よりも更に人が多く。

会場の中央では司会者を務めるガールが元気よくイベントの説明をしていた。


「冒険者のみっなさーん!こんにちはー!司会ガールの有希でーす!今からイベントの説明をするから、よーく聞くんだよー!

魔物討伐戦の期間は3日間、その間により多くの魔物を倒しポイントを稼いだギルドが優勝となりまーす!早く高得点を狙いたい人は60層辺りからがお勧めだけど、地下へ行けば行くほど強い魔物ばかりだから死なないように気をつけてねー!」


司会ガールが笑顔でそう言うと「それじゃあ準備いいかなー?」と合図をすると、周りの冒険者たちが、うおおおおおおお!!と勢いよく叫ぶのを聞くと、司会ガールが「いっくよー!魔物討伐戦開始!」と同時に、その場にいた冒険者はダンジョンへと走って行った。


「俺たちも急がないと優勝できねぞ。」


義経がそう言うと、悠人が「急ぐ必要はない、なにせ俺たちの目的は参加よりも綾燕を倒しに行くのが目的なんだから。」と言った。

悠人の返事に対し義経は「それ貴方の私情ですよね。俺の目的は鉱石集めかつ優勝だから、いや待てよ、これ80層辺り行けば勝てるんじゃね。よし、80層目指すついでに綾燕倒すぞ。」と言うと、彩里が「なんかスーパー行くついでにゴミを捨てる言い方だね。」と少し毒のある言葉を言った。

そんなこんなんでダンジョンへと入って行った。


ダンジョンの中は意外にも明るくて、地面もちゃんと整地されていて歩きやすくはなっていた。

最初の1層目は古い炭鉱をイメージしてるのか、今は使われていないトロッコや木材が乱雑に置かれていた。

その奥には吸血コウモリやファイヤーボマーなどの弱い魔物ばかりが徘徊していた。


「雑魚ばっかで鬱陶しいな。師匠、ここは一つやっちゃてください。」


そんな事を義経はフレデリックに頼むと、フレデリックが「僕ばかりに頼ってたら成長しないよ。それにいいの?限界突破しなくても。僕は弟子の成長を見守りたいんだけどなー。」とやる気を出させようとするが「師匠、俺はこんな雑魚たちのために無駄な魔力を消費したくないんですよ。それに俺は、もっと強い魔物を倒すという宿命がありますから。」と、綺麗な声でフレデリックに言った。


義経のその態度にフレデリックは「その言葉忘れないでよ。」と言うと、周りいた魔物を一瞬で焼き尽くした。

フレデリックの強さに周りの人は驚きながら、凄い!とか、カッコいい!とか言われているのを見ていた義経は「俺だってあれくらい楽勝だっての。」と、少し拗ねるのであった。



その後も魔物を倒しながら45層まで辿り着くと、休息地点へと到着した。

休息地点にはログハウスがいくつもあり、ことねは疲れていたのか、真っ先にログハウスに向かいながら「今日はもう疲れて無理!今夜はここで泊まっていこうぜ!それに俺の足が歩くことを拒んでいる!」と言いながらログハウスの中から、こちらを伺っていた。

義経は大きな溜息を吐くと「別にいいけど、明日は90層まで行くからな絶対に。」と言った。

ことねは泣きそうな顔で「鬼畜の所業だー!」と叫びながら部屋へと篭った。


そして義経は少し気になるようにキョロキョロと周りを見渡していると、フレデリックが「どうしたの?」と訊いてきた。


「いや、休息地点って絶対に魔物が近寄らないみたいだけど、夢の国みたいにカラスが近寄って来ないように目には見えない電磁波か何か飛び交っているのか?」



と言うと、フレデリックがいろんな箇所に貼られている護符を指すと「あの護符に魔力が込められていて、魔物が入れないよう強い結界が張られているんだよ。」と説明をした。

義経は「なるほど、じゃあ途中途中あった魔法陣はテレポートってわけ?」と訊くとフレデリックはニコッと笑い「うん、そうだよ。何かあった時用の脱出にもなっているよ。」と言った。

意外と対策はされているんだな、と思いながら疲れた身体を休める為。ログハウスへと入っていった。


ログハウスの中は意外と広く、リビングや寝室なども綺麗に使われていて、キッチンの水回りも綺麗で、主婦が喜びそうな大きな食器洗浄機に大きな冷蔵庫といった家具も備えられていた。

彩里と寧々2人の女子が、料理を担当すると言うと、サポートとして桃太郎も付き添う事になった。

義経はリビングのソファーで身体を休めていると、フレデリックが「ごめん。少しの間、急用ができたから、僕は一旦戻る事にするよ。夜ご飯は各自で済ませるから作らなくて大丈夫だよ。」とご飯担当の人たちに言うと、義経の方に顔を向けた。


「義経くん。今のうちに身体を休ませておきなよ。後で厳しい修行が待っているからさ。」


「え、なんの修行?」


義経がそう言うとフレデリックは優しく微笑むと「今夜中にでも限界突破を1段回目。解放させることがクリア条件ね。それじゃあ、また後で。」と言い残すと、ログハウスを出て行ってしまった。

義経はソファーの上に項垂れながら「俺、明日までには生きていられるかな……。」と、直感で死を悟り始めた。

そんな様子にニコニコ笑いながらことねが「安心しな、骨は拾ってやるから!」と、彦星並みのうざさに義経は「一発殴っていい?」と苛立ちを抑えていた。



**************



ダンジョンから離れたフレデリックは、周囲が薄暗く鬱蒼とした森の中を一人で歩いていると、周りには魔物たちが警戒しながらフレデリックの様子を見ていた。

数分歩くと、黒く光る高級車がフレデリックの前に停まると運転席から紳士的な老人が出てきた。


「お帰りなさいませ、フレデリック様。お迎えに参りに来ました。」


「ウィズ、わざわざありがとう。でも最近身体が鈍っちゃってて運動しようと歩いてたけど、迎えに来てくれたなら甘えちゃおっかな。」


フレデリックはそう言うと、車に乗り込み、ドカッと座り込み足を組んだ。

そして大きな溜息を吐くと「キャラ作りするのって本当にしんどいよねー。まあ、それは別にいいんだけど。少しウィズに聞きたいことがあってさあ。」と言いかけたところで、ウィズはフレデリックが何が言いたいのかわかったのか「あのお嬢様なら大丈夫ですよ。今は精神も安定していて、よく眠られております。」と答えた。

ウィズの報告に、フレデリックは少し口を緩めると「それならいいんだけど、でもまだ安心はできない。何せ、あの子の体内には、マーリンの血と体液が混ざっているから十分に監視は必要だね。

それに今回の件もマーリンが絡んでいるはず、本当に腹立つ野郎だ。」と苛立たせていた。


そして車を走らせること数分。

森の奥深くまで辿り着くとそこには、広い敷地に大きな館が建っており、自動で門が開き中へと入って行く。

フレデリックは館の中に入ると、入り口付近にいる使用人たちが次々と頭を下げ挨拶をする。

フレデリックはそのまま居間へと向かった。


居間へ着くと、大きなソファーにふんぞり返る太った男性が座っていた。

そしてフレデリックの顔を見るなり「遅いぞ、フレデリック!俺様を待たせるなどいい身分だなー。」と偉そうにいう、少しフレデリックに似た男が言った。

その態度に顔色一つ変えずに「兄様、僕は貴方に構ってるほど暇じゃないんだ。毎回ここへ来るのはやめてくれる。」というフレデリックの態度が気に入らなかったのか、淹れられたコーヒーのカップをフレデリックに投げつけるが、魔力でカップを防ぐと、そのままテーブルの上にカップを置き直した。


「兄様、僕の家で暴れるのはやめてくれる。そんなだから嫁にも愛想つかれるんでしょ。」


フレデリックがそう言うとフレデリックの兄は顔を真っ赤にし「うるさい!お前さえいなければ、妻は俺だけを愛してくれたんだ!お前さえ……!?」と言いかけたところで、フレデリックが兄の顔を掴むと「まだ自分の立場が分からないの?誰のおかげでお前みたいなブタを生かしてやってるか分かるだろ。俺はヴァンパイアの一族の血を引き継ぐつもりはない。全てを兄様おまえに押し付けることで、一族から解放され自由に行動ができる。それでもまだ戯言いってるようなら、今ここで消えてもらっても構わないよ。どうする?」と言いながら、掴んでいる頬に力を入れていく。


フレデリックの兄は涙目になりながら「ご、ごめんなひゃい……。」とすぐに謝った。

フレデリックは手を離すと「今後の一族についての動きはメールで送るから、もうここへは来るな。もし次文句あったり無断でここへ来た場合は容赦なく消すから覚悟しておいてよ。」と、冷たく突き放した。

フレデリックのその態度に、泣きながら「わ、分かった!もうここへは来ない……じゃ、じゃあな。」と腰を抜かしながら部屋を急いで出ていった。


「相変わらずだなー、もう少し優しい態度取れないわけー?一応家族なんだからさー。」


暗闇の中に男の声がすると、フレデリックが「お前には関係のないことだろ。それでマーリンの動きは?」と訊いた。


「んー。なんか魔物討伐戦に参加するとか言ってたかな。それと、死神の連中も動き始めているみたいだから十分に気をつけた方がいいよー。」


男がそう言うと、フレデリックは少し考え事をすると「分かった、引き続き調査を頼んだよ。」と言うと男は「はい、はーい。りょうかーい!」と言いながらその場から消え去った。


フレデリックはソファーに腰を下ろすと、ノートパソコンを取り出し、先程のフレデリックの兄にメールを送っていた。


(よし、あのバカに送る内容と資料はこれくらいでいいか。それよりもケイトの奴。一体何を企んでいるんだ?いや、あの人に限ってそれはないだろうけど、まさか前に言ってたアレか……まあ、どちらにせよ。死神は俺の敵ではないから心配することではない。

それに今は、義経をもっと強くしないといけないからね。)



そう思いながら口角を上げるとフレデリックは部屋を出てウィズの元へと向かった。

そして使用人の部屋へと入ると、ウィズの部屋を探しベルを鳴らした。

ウィズは、どうぞ。と返事を返すと、フレデリックはニコニコ笑いながら、失礼するね。と部屋へ入っていき。

その様子にウィズは驚きながら「フレデリック様、私に御用があるのでしたら、お申し付けてお呼びしても、よろしかったのですよ。」と言うがフレデリックは首を横に振りながら「ウィズ、僕はもう王家のものでもなければヴァンパイアの一族でもない。ただの情報屋だよ。それに特別扱いされるような身分じゃないんだし。」と笑った。


そんな態度をとるフレデリックに対し、ウィズは「いいえ、フレデリック様は私たちの大切な主人であります故。従うのは当然の事です。

それに、あの日から私どもはフレデリック様に一生ついて行くと誓った身なのですから。」と返した。


ウィズのその言葉に、嬉しそうに笑うと「僕は本当に良い人たちに恵まれてるな。だから今度は僕が彼女を救ってあげないといけないのに、今の現状、何もしてあげられないのが歯痒いんだよ。だからせめて彼女に、この指輪を渡してあげて。」と言うと、ウィズに小さな箱を渡した。


ウィズはフレデリックから指輪を受け取ると「この指輪は魔力が込められているのですね。ですが、私よりもフレデリック様ご本人がお渡しになさった方が、お嬢様も大変喜ばれるかと思いますよ。」と言うが、フレデリックは少し困ったように「んー、そうしたいのは山々なんだけど、色々と忙しいからね。ウィズ、僕が留守の間、彼女のことは頼んだよ。」と伝えると、ウィズは、かしこまりました。と頭を下げた。


「それじゃあ、僕はもう行くね。」


「お気をつけて、行ってらっしゃいませ。」


ウィズの見送りを後に、フレデリックは再びダンジョンの休息地点に戻ると、ログハウスの部屋の明かりがまだついており、フレデリックはそのまま義経を呼び出した。

義経は少し嫌な顔を見せながら「今やらないとダメなやつなのか?」と訊くと、フレデリックは「後で後でって言ってたら、いつまで経っても強くなれないよ。それと義経はヒーローものの映画は好き?」と質問されると「洋画でヒーロー系の映画が一番好きに決まってるだろ。特にデッドマンは憧れのダーク・ヒーローなんだけど主人公のケウェイが雷の落雷で死んじゃうんだよ。けどケウェイは神の加護を宿っていて、奇跡の復活を果たし、そして法律では裁けないヴィランどもをデッドマンが裁き殺す、正義のダーク・ヒーローってわけ!まあ、本来はヒーローが人を殺すなんてご法度だって言う奴が一部いるけど、俺は別に居てもいいし、寧ろなんでヒーローの仲間は殺されて、敵は殺されず捕まえるのって、おかしくね?それに!」と言いかけたところでフレデリックが「うん、もう十分だよ。それよりダーク・ヒーローに憧れているのなら修行あるのみだし、強くなれば人気者の冒険者になれるかもよ。」というと義経は嬉しそうに「師匠。俺、No. 1のダーク・ヒーロー目指すわ。ということでご指導の程よろしくお願いします!」と頭を下げた。

そんな扱いやすい義経に、フレデリックは優しく笑いながら、任せて。と言った。


それから広い場所に移動すると、フレデリックが義経に卵を手渡した。

義経は卵を見ながら「師匠、この卵が修行の何になるんですかねー。」と訊くと、フレデリックは卵を持ちながら「この卵をヒビ一つ付けずに、ゆで卵にする修行だよ。」と言うとフレデリックは卵に魔力を注ぎながら集中させた。

そして数秒経ち、フレデリックは卵を割ると丁度いい、ゆで卵が完成されていた。


「美味しそうな、ゆで卵。こんな簡単な修行でいいわけ?」


そ言う義経にフレデリックは「まあ、やってみれば分かるよ。」と返した。

義経は「フッ、こんなもん楽勝よ!」と気合を入れた。

そして全神経を集中させ、魔力を卵に注ぎ始めるが、バンッと勢いよく卵が弾け飛んだ。


「ウェッ!!生卵が身体ついて気持ち悪い……てっクサッ!!何なんのこの臭い!?腐った卵の悪臭が……し、師匠助けて……。」


義経がフレデリックに助けを呼ぶが、フレデリックは2mくらい離れながら鼻を摘むと「やっぱり失敗すると思ってた。」と笑いながらガスマスクをつけ始めると「さあ、思う存分練習していいんだよ。」と言った。

義経は卵を地面に叩き割ると「出来るか!こんな糞みてえな修行!!」と羽織っていた衣服も投げつけた。



フレデリックは、しょうがないな。と言うと義経の所まで行き、魔法で義経を綺麗にしてあげると、そのまま義経の身体を汚れないように魔法をかけてあげた。


「これで汚れも気にしなくてもいいし、臭くならないから大丈夫だよ。」


「最初っからそれやってくんね。」


そしてあれから1時間が経過し、未だにコツを掴めないでいる義経に、フレデリックはアドバイスをあげた。


「義経くん、人間の集中力って15分から45分、最大で90分なんだよ。それで集中力を保つには10分から15分は必要とされている。つまり、今は休憩時間だよ。」


そう言いながら、いつの間にか用意されたお菓子付きのティーセットで、義経を誘惑した。

義経は誘惑を我慢しようと「いや、俺にはそんな時間はない。」と断るが、フレデリックは「何をそんなに焦っているのかは訊かないけど、逆にそれってかなり空回りしているから僕はあまりお勧めしないよ。それにこのみかんのマドレーヌは皮があって美味しいよ。」と言いながら義経に差し出した。

義経はマドレーヌを受け取り、一口食べると「美味しい、これ何処で買ったんだ?」と訊くと「僕の趣味で作ったんだ。」と義経に教えると「レシピ後で教えろ!そして修行の続きだ!」と言った。

フレデリックは呆れながら「まだ休憩中だってば。」と言いながら少し笑うと「まあ、これはこれでいいのかな。」と、義経に聞こえないように言った。


それから少し時間が経ち、少しづつコツを掴み始めるが。

「ぐあっ!?」と手首を押さえると、掌から大きな傷と血が垂れ流れていた。

フレデリックは義経の手を治療すると「最初の頃よりは大分良くなったけど、魔力に集中しすぎてコントロールがまだ上手く出来てないみたい。」と言うと、義経は「魔力をコントロールって難しくない?」と言った。


「確かに魔法とかって魔力を使うだけで実際はコントロールなんか使わない。それこそ至難の業だからね。でも僕ら転生者は魔力をコントロール出来ないと限界突破なんて不可能だからね。」


フレデリックがそういうと、義経は「え、待って!師匠って転生者だったの!?」と驚くと、フレデリックは乾いた笑いを見せると「寧ろ今までの流れで気づかない方が驚きなんだけどね。」と言った。


「まあ、僕のことは置いといて、魔力のコントロールについてなんだけど、義経くんは魔力を使う時、蛇口を捻るイメージで魔力を弱めたり強めたりしている?」


「うん、そんな感じで魔力を集中させているかな。」


義経がそう言うと、フレデリックは小さなバッテンを作ると「そんなやり方じゃあ、いつまで経っても強くなれないよ。」と言った。


「じゃあ、どうすれば上手くコントロールできるんだ?」


義経がそう言うと、フレデリックはニコッと笑いながら「そんなの簡単だよ。自分でイメージを創り出せばいい話。そしてこの卵を調理するイメージで魔力をコントロールする。ゆで卵の温度は70度だから魔力の温度を70度にキープするんだけど、半熟卵は大体7分から8分なんだけど、それを短縮させるために100度にしてるんだけど失敗する時は焦げるよ。」と笑いながら言った。

義経は呆れながらだろうな。と言うが「でも、イメージって魔力さえ視えば話が別なんだけどな。」と悩むと、フレデリックが「フフッ、それなら僕からとっておきのプレゼントがあるんだ。」というと、義経の顔を掴んだ。


「え、師匠急になに!?」


「少し我慢してて。」


「はい。」


義経は大人しくしていると、脳内の中に"魔力可視化を修得しました。"と表示された。


「魔力可視化、魔力が見えるようになったのか?」


「そうだよ。本来は魔力可視化がなくても出来る人はできるんだけど、義経くんは特別だよ。」


「師匠、それって俺のこと少し馬鹿にしてないか。」


「馬鹿にはしてないけど、期待はしているよ。」


義経は呆れながら「それを馬鹿にしてるんだよ。まあ、ありがとな。」とお礼を言うとフレデリックは「本当に期待はしてるんだけどな。」と言った。



そして義経は能力スキルを試すため、魔力可視化を早速使ってみた。

能力スキルを発動すると、眼に視えるように青い魔力が身体から湧き出ていた。


「すげえ、本当に魔力が眼に視える!これならいける!」


そう言いながら卵に魔力を込めると、卵の中心に魔力が集まり。

外に漏れ出さないように、上手くコントロールを制御した。

すると卵は徐々に黒く変色してゆき、義経は「え、黒たまごが出来たんだが……それに俺の魔力って硫化水素だったの!?って、んな訳あるかあああああああああ!!師匠これはどういう事なんだ?」と驚きながら訊くと「うん、これは間違いなく硫化水素が卵に反応し、硫化鉄になって黒く変色したんだと思うよ。」と悪ふざけを言うフレデリックに「真面目に答えてくれよ!」と叫ぶとフレデリックは笑いながら「なんかノッて欲しそうだったから、ついね。まあ、簡単に説明すると属性による変化だと思うよ。それによく見てみな。この色黒というより黒紫に近いでしょ。だから中身も腐ってるから食べると死ぬよ。」と答えた。


「え、なんか俺の属性が腐ってるみたいな言い方だな。しかも死ぬのかよ。待てよ、これをクズ星に食わせたら人生から解放されるんじゃね?」


「解放される前に滅されると思うよ。まあ、その話はどうでもいいんだけど、第一関門クリアということで、最終関門へ移動するよ。」


義経は気合を入れると「もう最終関門か、この俺に不可能なものはない!」と勢いを見せるとフレデリックが「なんか1人で盛り上がっているみたいだけど、次は簡単にクリアして1段階目を突破できるか、楽しみだな。」と笑った。


そして2人はさらに階層を降り、最深部へと足を踏み入れるのであった。





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