藪を往く

 この季節は、非常に中途半端である。

 紅葉も落ち着いてしまい観ることに関して、真新しさを感じなくなってきた。


 昨今は、寒かったり暑かったりと気候の方も忙しい様子。

 散歩に出るには難しい時期にあるだろう。


 朝晩二回の咳止め薬でなんとか耐え忍びつつ、深夜に歩みだす。

 薬を常用している手前、酒を控えているのは若干ながら残念ではある。



 今日は竹藪を抜け、そこそこに幅広い河原を目指す。

 竹藪と言えば、蛇。

 あの赤く毒々しいヤマカガシや三角形なマムシに出会いませんように。

 もう少し冬の気配が濃厚ならば、この時期に奴らと遭遇することはない。

 しかし気候が安定せずに暖かい日が続くと顔を見せてくるのだ。

 

 何がヤバいって、奴ら上から降ってくるからな!

 上から聞こえるガサガサという音には即座に反応しなくてはならず、視界の利かない夜に通るべき場所ではない。でも、河原に抜けるには最も近い道。

 

 今日はなんとか襲撃されることもなく、河原へとたどり着いた。

 暖かい日とはいえ、やはり川に沿って流れてくる風は冷たい。そして、それが何より心地いい。


 酒は無いが、水筒に淹れてきたコーヒーを一杯。

 アツアツのコーヒーは勿論、ブラックで。


 コーヒーをブラックで飲むようになったのは、いつの頃だったろう?

 

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