今日の食卓

 酒が飲めないことが心苦しいので、最近はまた料理で気を紛らわせている。


 熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに食べてほしい。

 サービスの基本として徹底的に叩き込まれたのは過去の話ではあるが、作った側の気持ちとしてもそうであってほしいと考える。

 だが、実際にはそう上手くはいかず、ヤキモキとさせられることが多い。


 会話を楽しみつつ食事を摂るという行為は時に、食事のスピードを緩める。

 それが悪いとは言わないが、出来るなら美味しいうちに食べてほしい。


 それでも食事のスピードというヤツには個人差がどうしても存在する。それに関しては、無理をしろと強要できるものではない。

 なので、冷めにくい料理、もしくは個人の食事スピードを考慮した料理を試行錯誤する。



 料理はいつ頃だったか、高校生辺りから自然と始めた気がする。

 ホテル勤めの際も調理場に出入りすることが多々あり、各料理長とも懇意にさせてもらうことが出来たため、色々な知識を吸収させていただいた。

 それからも趣味という程度には続けている。少しだけプロとしての経験もあるけれど、大きな声で自慢できるものではない。


 今日の食卓の中心はオイルフォンデュ。

 なぜか実家の戸棚にはオイルフォンデュ用の銅鍋が存在したので、それを引っ越しの際に勝手にもらってきていた。恐らくは珍しい物好きな父が購入したものだろうと思われる。


 家計を圧迫しない程度に美味しいお肉を準備する。リブロースなのだが、問屋から直で仕入れたのでかなり安価である。

 これに塩胡椒を振り一口大に切り分け、他は野菜とキノコを適当に切り分けておく。肉と温野菜を同時に準備できるため、手間も掛からずに簡単で何より。


 これで好き好きなスピードで食せるというもの、だ。

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