第1夢 夢の始まり

第1話 ぼうけんのしょをつくりますか?

「・・なさい。」


(声が聴こえる…。)


「起きなさい。私のかわいいアルスや…。」


(ん…?母さんの声では無いな…。)


 意識がはっきりし、ゆっくりと目を開ける。

 すると見覚えない女性の姿が表れる。


「おはよう、アルス。もう朝ですよ。」


「お、お早うございます…。」

 いきなり見知らぬ人に声を掛けれれた感じになり、思わずコミュ症モードで挨拶してしまう。


「今日は、とても大切な日。アルスが独り立ちする日だったでしょ。」


「大切な日…?なにそれ」


「なに言ってんの?寝ぼけてないで、さっさと支度して下降りる!」

と言って、ベッドから投げ出さられ、起こすだけ起こして下に降りていった。


「なんだぁいきなり…?てか誰だよあの人。アルスって誰よ。いや僕の事だな。」

(ん…?あれ、なんで僕がアルスって認識したんだ…?)


 よくも分からない状況に疑問に感じていると、聞き慣れた音が部屋中に響いた。


(Twinの通知音…?)


 音が鳴った方向へ確認すると、部屋の角にあるテーブルの上にスマートフォンが置いてあった。

 すぐさま、スマートフォンが置いてある場所へ移動し、手にとって見ると通知欄にこう表示されていた。


”Twin:次元の管理者さんからトーク申請が届いています”


「次元の管理者…!もしかしてここって異世界!」

 叫び出したい気持ちを抑え、心の中で嬉しさを湧き起こしてから、状況を確認するためにも手慣れた手つきでアプリを立ち上げる。


 次元の管理者と話すため、トーク申請を承認させる。

 承認してすぐに次元の管理者から連絡が来た。


次元の管理者>やあ、おはよう。

       どうだい異世界の気分は?

       いちいちメッセージでやり取りするのもめんどくさいから、

       トークでお話しようではないか。


アルス>本当に異世界なんだな?


次元の管理者>あぁ、ここは君が望んだ異世界だ。

       そしてこの異世界の一つ、魔王が存在するファンタジーな世界だ。


アルス>魔王?ゲームみたいなというか先程の起こされたときのセリフがとある有名

なゲームの始まり方みたいだった気がするのだが…?


次元の管理者>まぁ最初はみんなこういう始まり方ではないか。

       ぼうけんのしょ1の始まり、始まり~ってね。

       魔王については後ほど説明しよう。

       とりあえず自分自身を確認したほうがよいぞ。


アルス>僕?


次元の管理者>まぁこの世界では鏡は高級品だから、

       すぐには全身を確認しずらいと思うが、体格ぐらいは確認できるだろう。


 すぐさま、言われたとおり、顔を下に向け、腕や膝から足元、そして体格を撫でるように確認すると、いつもの自分の体ではないと確信した。


アルス>なんだこれ!


次元の管理者>ここで色々と説明するのも面倒だし、詳しいことはおいおい説明するとして。

       簡単に言うと、異世界転移するためにはこの世界の誰かに憑依する必要がある。


アルス>え、僕、勝手に誰かさんに憑依しちゃってるってこと!?


次元の管理者>まぁまぁ、それについては先程も言ったとおりおいおい説明するし、

       これからのことについても話したいのだが、今は時間がなさそうだ。


アルス>?


次元の管理者>先ほど君が見た女性は、君が憑依している人の母親だ。

       とりあえず今は着替えて、下に降りてみると良い。

       そこで母親から話を聞いてみると良い、そうすれば簡単な状況は

       理解できるだろう。


アルス>了解


いまいち良くもわからなかったが、こいつに流れに身を任してみよう。

立てかけてあった洋服に着替え、部屋の外の階段を降りていった。

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夢見がちな僕の幻夢物語 フィッシュン @Fishn

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