第18話

 魔法少女が好きな男達よ、どうだ、男が変身したぞ!


「闇から救う桃色ももいろこころ、ZIN!」


よし、キメポーズも決まった。

でもあれ?なんか目線が低い。

別に俺の背が低いわけじゃないぞ!


「お兄ちゃん、え、誰?」

「いや誰って、どこからどう見ても...」

水溜まりを見ると、そこには可愛いフリルのついた服の、

美少女がいた。


「え!誰?俺⁉女?小さ!新開発の毒薬を飲まされたのか⁉」

「落ち着いて仁君、それが君の変身した姿だ」

「どういうことだワッフル!魔法少女だから女体化はまぁいいとして、なんで若年化してるんだ!」

「君の想い描く魔法少女が、小さい子だからじゃないかな?その強いイメージが、君を幼女へと変えたんだ」

「いや、俺のイメージは幼女じゃなくて中学生くらいなんだが」

「今の君もそれくらいじゃないかな?幼く見えるのは、君が中学生をまだ幼女の範囲内だと思っているからだと思うよ」

「人をロリコンみたいに言うな」

「お兄ちゃん、キモ」

「違うからな?!」

「まぁ、魔法少女が好きって時点で、すでにその気はあるよね」

「ワッフルあとで覚えてろ」


「く...なんだ、その姿は」

今まで黙っていたマスク女がブツブツ言ってる。


「かっわいい~~!!」


あ、目がキラキラしてる。これあれだ。原宿のスイーツショップに入った女子高生の目だ。知らないけど。


「もう、こんなかわいいなんて!これじゃ戦えないわ!」


歌劇団口調が解けて、完全に女子丸出しだ。

マスク女は、こっちをチラチラ見ながら退散していった。

こうして俺は、見事(?)不戦勝となった。


俺は変身を解く(なぜかNAGIとワッフルが残念そうな顔をした)と、NAGIの鎖を外し、NAGIも変身を解く。


「さ、家に帰るぞ」

「お兄ちゃん、家に帰ったら、もう一回変身して」

「あのマスク女なんだったんだろうな」

「さぁ?いきなり現れて襲ってきたのよ。それより、また変身したお兄ちゃんで着せかえしていい?」

「着替え途中にいきなり変身解いていいならな」


家に着くと、自分の部屋の鏡の前で、変身してみる。

やっぱり美少女になった。いや、もはや美幼女か。どうやら、もうこの姿で固定らしい。

身長は凪よりひとまわり低く、丸みを帯びながらもどこか可憐さのある顔に、形の整った各パーツがバランスよく配置されている。

目は赤、髪は桜色のようなやさしいピンクで、横髪にはカールがかかり、後ろ髪は結われて蝶々結びみたいになっている。

NAGIの異常に長いポニーテールもそうだか、魔法少女というのはどうも個性的な髪型が多い。

服はピンクが基調のアイドル衣装みたいで、よく見ると、花とかハートとか蝶とかの細かい模様が入っている。

魔法少女のビジュアルとしては完璧だが、俺がなるものか?


するといきなりドアが開き、両手に自らが昔着ていた服を抱えた、凪が入ってきた。


「お兄ちゃんお待たせしました~」


その後、俺は妹の着せかえ人形にされた。

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