短編17:この世界は

 

 ぴぴぴ、と鳥が囀る。


「……」


 上からは木漏れ日が降り注ぐ。


「…………」


 そして、隣には――……


「で、俺が、あんたを、案内しなきゃいけないのか?」


 不貞腐れている男。


「そう、なのかな……?」


 でも、と思う。


(再会が先かなぁ)


   ☆★☆   


「ぬぅわぁぁああ!!!!」

「ちょっ、落ち着けって」


 いきなり叫びだした女を落ち着けるために、慌てる金髪の合間からぴょこぴょこと長い耳が動く。


「これが落ち着いてられるかぁぁあ!!!!」


 その声は、空高く響いた。


   ☆★☆   


「あー……その、初めまして」

「ん、初めまして」


 和服の少女はそう返す。


   ☆★☆   


「あの……?」

「う~ん? ああ、ごめんなさいね。予定より……って、今のは気にしないで」


 少年の前には胸元が大きく開いた女性。

 彼女は何かを取り出すと、器用に操作を始める。


 そして、物語は繋がる。


「もしもしぃ、こちら一名様。ご到着でーす」

「げっ、お前酔ってんな? ……こっちも到着だ」

「こ、こっちもです。って、いい加減一回落ち着きましょうよ!」

「一人、到着済み」


 女性は笑みを浮かべ、告げる。


「それじゃあ、命がけの再会・・・・・・を果たしましょうか」


 と。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る