それでも、彼女は世界を愛そうと思った

ある春の日に幼なじみと十年ぶりに再会した。高校受験を来年に控えた14歳の僕。僕の静かな街に、彼女が舞い降りた。精緻な仮面のように凛とした顔を持つ彼女。もう思い出せない、いやもう思い出したくないくらい陰惨な過去、記憶があった。でも、いつからかその記憶の彼女は、僕の夢を侵食していった。もしかしたら既に、それは新しいものがたりの伏線だったのかもしれない。ニ〇二三年の世界で、"一人"の少女が救われる小さな物語。