No.006 [ Children's Ghost ]


「ネェネェ、聞こえてる?ボクの声…。おーい。」

そう、きっとこの人は耳が壊れているんだと思った。


「アレー?痛くないの?」

ボクが叩いても蹴ってもなにもいわないの。

この人にはいたいって思うこともないんだと思った。


ボクはいたいを感じない身体や壊れた耳が…羨ましくなった。


だけど

「ちょ、あははっ」

だれかとおでんわ、わらっている。

「いた…っ」

包丁で指が切れて、いたいといっている。


この人の耳は壊れていなくて、いたみを感じることもあるんだとしった。


まるで、ボクだけがここにいないみたい。


「可哀想」どうして???

「ひどい」どうして???

何度も聞いたような声が頭の中で木霊する。



この人達は何を言っているの?

今ボクはとってもしあわせなのに。


この人はボクのこといないように振る舞っているけど

ボクをひとりぼっちでさむくてくらい場所に追い出したりしない

いたいこともひどいこともいわない

邪魔者あつかいしないでいてくれる。

この人はボクをこの場所においてくれる。


だから遊んでもらえなくても

いないものにされてもはなせなくても

ボクはこの人からはなれない。




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吐血世界観 吐血猫 @toketuneko

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