第6話「現実?」田舎の神社

 昔の話だ。

 自分がまだ10代の前半の頃、両親と一緒に実家の祖父母と一緒にとある村へ訪れたことがある。そこは田舎。一言でいえば木造築の民家と畑がある。民家2割、畑が8割といったような場所だ。


 正確な場所は今でも覚えていない。

 ただ、祖父の案内する方向へ進んでいたためか、自分の車酔いのためか、窓の外の景色をしっかり覚えていなかったことが問題だっただろう。


 村の外れに小さな小川があり、丸太の橋が掛けてある。

 車でごとごとと揺れながらその橋を渡り、少し坂道になっているところを上っていくと古い神社があった。


「不気味…早く帰ろう」


 母の声に頷くかのように運転していた父が早々にバックでその神社を後にしたのだが、自分が覚えている限り。そこは、廃寺だったかもしれない。


 一軒の木造の家。

 井戸。

 一本の木に白い帯のようなものがいくつかある。

 家と思われき場所のなかにはすっかりと朽ちてしまったのか天井の板が落ちてしまっていた。

 落ち葉に埋もれてしまったお地蔵様、入り口の門は傷んでしまい元の色がわからない。


 など、そんな場所だった。

 そこだけが唯一覚えているところだ。


 そこがどこだったのか今でも覚えていない。

 ただ、時々夢で見ることがある。

 その場所に迷い込んでは何かを探している夢だ。

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