第4話「現実」犬山線の廃墟

 場所は特定されてしまうが、個人的に恐怖を覚えた物件があった。

 そこは、犬山線を乗っていると見える廃墟です。


 季節の移り変わりで外見が変わる。そんな廃墟。


 今は外側は崩壊し、ベランダのような場所はもうなくなってしまっているのかもしれません。


 その廃墟がまだベランダがあり、窓がまだあった時の話。


 夕焼けが染まる時間、学校から帰宅中にふとその廃墟を見た。当時は人がいたのかもしれない。


 灯りに染まった窓辺から一人の女性の影が見えた。一瞬だったけど髪型でそう思ったからだ。


「丸見えだな」


 そんな風に思いながら、帰宅した。


 翌日、その廃墟を通り過ぎたとき、唖然とした。


 なぜなら、窓は割れ、中身はすっかりと暗く、ベランダと思われた場所はすでに崩れ去ってしまっていたからだ。すなわち廃墟だった。


 あのとき、見たのはいったい何だったのか今でもよくわからない。

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