8:40

 廊下に出てエレベーターに乗り、さいかいのフロアで降りる。

 降りたフロアは迷宮のような造りになっているうえに機密保持の問題もあり、全体像を把握している者は少ない。

 扉やドアに室名などは表示されていないので、いつも通りかかる部屋でも、自分に関係がなければ何のための部屋なのかは不明である。

 例えばそうちょうは全容を知っているだろうが、僕のような一主任にはわからない。


 フロアの空調は働いているのだが、地下特有の湿気が取り除けておらず、快適とは言いづらい。僕などはいつまで経っても慣れない。

 しばらく通路を歩いたのち、別のエレベーターでさらに下へ向かう。

 そして、目的の部屋の前に立ち、セキュリティー・チェックを済ませて中に入れば、床の中央に設置されている魔法陣が薄紅色に発光しているのだった。

 生き物のように、光を強めたり弱めたりしながら。

 僕が魔法陣の上に立つと、いつものように意識がなくなった。

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