第6話 出会い 前編

普段通りの朝。


厨房で調理。


全く、やる気も出ない。



『何か違う。』

婚活で言われた言葉が、頭の中から離れない。


相当傷ついた。

自分が気付いていないだけで、

世間一般から僕を見ると、何か違うのかも・・・


人の視線が怖い。


誰とも会いたくない。


その日は、厨房から出る事は無かったが、

落ち込んでいても、腹は減る。


いつもなら、自分で何か作り食すが・・・


やる気も無い。


仕方ない。居酒屋でも行くか。



帰宅途中には、沢山 居酒屋がある。

どこかで、軽く済まそうと思い店を見て回るが・・・

どこも、人が多い。

入る気も無くなる・・・


何軒目かで、誰も居ない居酒屋があった。

ここでいいか。

この時間で、誰も居ないという事は、味は期待できないが。


カウンターに座り、一人ビールを飲みながら。

メニューをみる。


普通のメニューだな・・・

なんでもいいかな。


そんな事を考えていると、

お客が入ってくる。



ちらっと見ると、

30代の女性が二人。


楽しそうに、おしゃべりしながらメニューを見ている。


暇そうな店だが、今から満席になるのかな?

さっさと帰ろうと思い、適当にオーダーする。


ビールを飲みながら、店内のTVを見ていると・・・


『あの・・・すいません!』


『もしもし~~~!聞こえていますか?』


何を誰に言っているのか?


『すいません!』


え?

俺に話しかけてるの?


振り向くと、さっきの30代女性の一人が僕の横に座っている。


え?


『突然ですいません!電話番号とか教えてもらえませんか?』


は?

聞き間違いか?

電話番号って言ったぞ。


何か悪い事でもしたのかな?


彼女はスーツ姿で、ニコニコしてこちらを見てくる。


キャッチセールスかよ・・・

居酒屋でセールスって、なんなんだよ。

酔っぱらいのおやじとでもおもったのか?


僕は断る選択をした。


何も買わないよ。と伝えると、

彼女は恥ずかしそうな顔をして答える。


『いえ・・・ 一目惚れなんです・・・自分でも何を言ってるのか。すいません!』




言葉を失い、時が止まった。


第7話へ


■ 作者より

第6話ご覧いただき有難うございました。

45年生きてきて1番驚いた日となりました。

女性から告白されるって、いくつになってもドキドキするんだと。





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