第7話 出会い 後編

いきなりの発言に、理解ができない。


さっき、この子なんて言った?

一目惚れって言ったよな・・・


普段、町を歩いていると、奇麗な女性を山のように見る。

その中でもひときわ奇麗な女性も見かける。

しかし、そこで、相手を引き留めて告白する事は、常識的に考えても無い。


声をかける前に、沢山の選択肢が頭に浮かぶから。


年齢差とか、彼氏いるだろとか、結婚してるかもとか。

何よりも、初対面で知らない人に言える言葉でもない。

下手したら通報される。


からかっているのか・・・


もう一度、彼女を見てみる。


見た目的に年齢は20代後半?

整った顔立ちに、抜群のスタイル。

こんな田舎では、まず見ない容姿。

奇麗な顔を強調させていたのが、めったにお目にかかれない鷲鼻だった。



それに比べて、僕はジーパンにTシャツ。

お世辞にも若いですねと言われることも無い。

どちらかというと、落ち着いていますね・・・が限界のような人間。


どう見ても、からかわれてる様にしか思えない。


鷲鼻の性格は、昔から人として嫌われる性格の持ち主が多いと言われている。

自己中心的。表裏が無い。敵が多い。人の話は聞かない。

気が強い。我が道を行くタイプ。


血液型でいうB型に似ている。


全ての人がそうでは無いと思っている。

あくまでも、統計学。


無言の時間が続く中、彼女はつぶやいた。


『お願いします。変な事を初対面の人に言っているのは、わかっています。

自分でも驚いているんです。友達にも止められました。でも、どうしても・・・

お願いします。』


彼女に根負けして、電話番号を教える。


彼女は、一礼して嬉しそうに元の席に戻る。


からかわれただけだろうな・・・

友達と賭けでもしてたんじゃないの?

罰ゲームとか。


日常的にあり得ないだろ。


食事を済ませて、店を出る。

振り返ると店の中から、彼女が手をふっていた。


一礼して家路に・・・


電車の中で、さっきの女性を思い出す。

電話番号は教えたけど、彼女の番号は知らない。

でも、可愛い͡͡娘だったな。

あそこの店にいつも来るのかな?

でも、もう会うことは無いだろうな。


神様が居るとしたら

落ち込んでいた僕を励ましてくれたのかも。


嘘だとわかっていても、この歳で一目惚れと言われた事に

嬉しい気持ちになった事は確かでした。



明日も頑張ろう!


第8話へ


■ 作者より

第7話ご覧いただき有難うございました。

不思議な体験をしたお店でした。

20代の時に、何かの本で読んだ事があります。

人生には3回のチャンスがあるとかなんとか。

僕は、その不思議な体験を過去に2回経験しています。

過去2回の経験は、仕事でのチャンス経験でした。

良くも悪くも、人生が急変するタイミングだったと思います。

あと1回あるのであれば、居酒屋の体験はチャンスだったのかもしれません。

でも、良くなるか悪くなるかは、まだわからないですね。





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