第5話 婚活

日々、退屈な厨房で将来の事を考える。


再就職してから貯金も増えた。


施設と家の往復。


給料の使い道は無い。



頭の中は、老人の御飯の事ばかり・・・



そんな、ある日に知り合いから、

彼女でも作ったら?と言われる。


彼女か・・・


離婚してから真面目に考えたことが無かった。


女性に対して信用がわかない。


愛してもいない人と結婚して裏切られた過去が蘇る。



傷つくのは、もうごめんだが。

知り合いの強引な誘いで婚活を始めてみる。


写真を撮って、婚活会社に投稿してみた。


しばらくすると何人からか、食事の誘いがあった。


全員と会うのは大変なので、

1人の女性と会ってみる事にした。



気が進まない。


京都駅で待ち合わせをして、食事へ。


写真通りで背の高い人。

写真よりも奇麗な人だった。


しかし、彼女の第1声が

『なんか違う。』


は?


失礼な人だな。


少し会話をして、近くの喫茶店に行きました。


そこで、言われたのは、

『これから、お付き合いをするなら、身体の相性が大切です。』


は?


確かにそうだが、初対面の人に言うこと?


大事な事だけど、

初対面の人に言うって事は、他の人にも平気で言ってるんじゃないの?


訳も分からず、そのままホテルに連れ込まれる。


背も高く奇麗な人が誘惑してきたら・・・

男なら誰でも本能のままに動くと思います。


何年振りだろう。女性の身体を抱くのは、

この人と、幸せになりたい!


そう思った。


しばらくすると彼女がつぶやきだした。


『何か違う・・・』

『重い・・・』


え?

何を言っているのか?


『私、帰りますね。あなたに素敵な彼女が出来るように祈っています。』


え?

フラれてるの?


全く理解が出来ない。


45年生きて来たけど、

こんな事あるの?

ただの遊びだったのか?


正直、凹みました。

やはり、女性を信じるのはやめようと思った。


初対面で平気にホテルに行く生き物を、

幸せにしたいと思う方がおかしい。


本当に疲れた。


思いっきりフラれたことが、初めてもあったけど。

帰りの電車で、悔しくなって。

やけ酒。


婚活はしないと誓った。



第6話へ


■ 作者より

  第5話をご覧頂き有難うございました。

  とにかく傷ついた1日でした。

  やる事やったからラッキーだったねって知り合いに言われたけど。

  1日で、恋愛物語はつらい・・・

  この事が、のちに自分の判断を狂わせる事になりました。




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