緻密な設定を堪能

 ガジェットのおもしろさというのは、いつの世にも存在する。007は銃や車に巧みな仕掛けをしたし、少年探偵団は七つ道具で正体不明の敵と対峙した。特別な改良をほどこした特別な装置というのは大変楽しいもので、今でもそういうものが出てくるとわくわくする。

 この物語は緻密な設定と複雑な構成がからみあってできあがっており、個々の登場人物の背景が組み合わさる。実に情報量が多いのだが、それが実にいい。次にどんな仕掛けが出てくるのか、どこまで無茶苦茶をするのか、どちらに物語を引っぱって行くのか、不思議と気になる。
 情報量に圧倒されながら、先を読み進んでいくのも、何が出てくるのか楽しみであるからだ。

 目の前の設定と展開。それを楽しみつつ、連載中でまだ明らかにされていない世界と主人公の秘密に近づいていきたい。

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