第8話 疑問

「お前、拙者達の仲間になるんだってな。素性はよく分からんが、よろしく頼むぞ」


幸村との面会を終えた俺に、佐助がそう言ってきた


筧から話が伝わっていたらしい


「今は戦時で、相手はあの魔王だ。有能な人材は1人でも欲しいからな。それで、お前は未来から来たんだって? 歴史に拙者の名前は刻まれてるのか?」


「そこまで話しちゃっていたか」


困ったなあ


「猿飛佐助は有名だよ。色々な題材に使われてる」


一応、こう言っておく


「嬉しいな。拙者は有名で人気者なのか」


俺の言葉で佐助は喜んだ


しかし


「ここは本当に過去なのか?」


思わずつぶやいてしまう


「何? お前は未来から来たんじゃないのか?」


「そうなんだが、俺の知る歴史と、この時代が違う気がする」


「なら、お前の知る歴史がおかしいのだろう」


「そうなのかな?」


「そうだ、もういいだろ。あまり気にするな」


そう言って佐助は去って行った


「こんなところにいたのか。訓練所に行くぞ」


筧がやって来て、俺を連れて行こうとする


歩きながら考える


レネゲイドウイルスが広まり、オーヴァードが増えて20年だったか?


その前から、少数だがレネゲイドウイルスは存在してたし、歴史上の偉人がオーヴァードだかもしれないって話も聞いた


「とは言え、多すぎないか?」


真田勇士に、信長もだもの


ほかの大名やその仲間もオーヴァードはいるだろう


「何か言ったか?」


先頭を歩く筧が振り向きもせず、俺に言う


「いえ、神や魔物から力を与えられた人は多いな、って思っただけです」


「そうか? 俺達は与えられるべきして、与えられたと思ってるが」


そんな認識なのか?


「それより着いたぞ。ここがお前をしごく場所だ」

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