次の日、寺子屋に行く時間だった。

「青ちゃん」

 花ちゃんが迎えに来てくれた。かんざしは藤のかんざしだったので、紫色がきれいだった。

「花ちゃん、おはよう」

「青ちゃん、顔色悪いね」

「そうかな? まあ、毎日お宮様と怖い話を考えているから、怖くて眠れなかったりするんだ」

「それは、大変ね」

 花ちゃんは、かわいそうな人を見る目でこちらを見ている。

「うん、大変、ふあ~」

 あくびが出た。

「でも、どんな話が出来上がるか、私は、ワクワクするけどね」

 花ちゃんがそう言うが。

「書く方は、命が縮まりそうだ」

 お宮様には聞こえないように文句を言ってやった。


  ☆ ● ☆


 そして、寺子屋について、席に着く。

「青さん」

 お宮様が案の定声をかけてきた。

「何ですか?」

「今日も、企画出しがんばりましょうね」

「うん」

(もう、怖いのは嫌だな)

 心の中では、そう思っていたが、言えるはずもなかった。

「ふふふ、大変そうね」

 花ちゃんは、笑って見ている。

(笑い事じゃないんだけど……)

 ふとそう思うと嫌気がさした。

「皆さん、授業を始めますよ」

「「はーい」」

 みんな席に着く。

「では、かな文字の書き取りをしましょう」

「「はい」」

 みんなで一斉に返事をした。

 墨をこすって、筆で書いていく。

(もう、かな文字は覚えたのにな~)

 今回の授業は、きれいに書けるように練習するために書かされているのだ。

(はあ、面倒くさい)

 書きながらそう思っていた。

 そして、授業が終わった。

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