エピローグ
昔々。
人間と影族が対立していた頃の話。
人間は集めた天使たちを使い、蛇神を召喚したんだ。しかし蛇神はひどく残忍で残酷で。自分を召喚した人間たちを餌としようとしたところを影族が救ってな。
さらには治療や物流の途絶えかけたその頃には珍しい痛み止めや傷薬を惜しみなく使ってくれた。一件で、人間たちは影族の認識を改めるようになったらしい。
200年っていう長い長い時間をかけて人間と影族は友好を結んだんだ。
なんでそんなにかかったのかって? そりゃあ仕方ない、すぐに信じきるには人間も影族も互いを殺しすぎたんだ。
だからな、この平和の下にはたくさんの犠牲が積みあがっていることを忘れちゃいけねえんだよ。
みかちゃん、お待たせ。……その子誰?
エリか。さっき転んでたからあやしてやってただけ。ちょっと昔話でも聞かせてな。
ふーん。まあいいけど、そろそろ行こうよ。宿とらなくちゃいけないんだからさ。
お兄ちゃんたち、お宿とるの? だったらわたしのうちにおいでよ! うち、宿屋やってるんだ。
あんた、案外たくましい根性してんな。さっきまでびーびー泣いてたくせに。
むうー、黒髪のお兄ちゃんの馬鹿! 泣いてないもん!
いーや、泣いてたね。
みかちゃんもからかわないの! さて、で? 宿がどこにあるの? 案内してよ。
うん、こっちだよ! そういえばお兄ちゃんたちここら辺では見ない顔だよね、お名前は? 何してるの? 旅?
間違っちゃいねえが。俺は亜芽、こっちはツァルツェリヤ。
だいぶ違うと思うよ、みかちゃん。
ああ、そうだ君。言っておくけどぼくたちは旅人じゃなくて、迷宮探究者なんだ。
さあ、結末をかたれよ 小雨路 あんづ @a1019a
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