第11話 食事と会話(2)
「お待たせしました。ご飯普通盛と中盛。道産子チキヤサカリーの卯月、トッピングがオクラ。そして、こちらが、如月でトッピング、アボカドになります」
「ありがとうございます」
「それでは……」
「いただきます」
「あっ熱い。辛い」かなり咳き込む。
「大丈夫?はい、水。足しといたよ」
「あ、ありがとう。助かるよ」
「やっぱり、辛いの得意じゃないんだね。好きなんだろうけど」
「うん、思ったより辛かった。ヒー」やっぱり1番にしておけばよかった。これで辛いものが食べれないひ弱な男として見られないかな。大丈夫かな。
「大変だったら、食べてあげるからね」
いや、それ比較的ガッチリしている男が言うセリフじゃないですかね。偏見かもしれないけど。そんなことよりこっちから何か話しかけないとなあ。そろそろ。うーん。そういえば、僕は中川さんのことをあまり知らない。
「そういえばさ……うーん。……中川さんは普段休みの日とかって何しているの?」
「あー。言ってなかったっけ?こんな風にいろいろなところに食べに行ったり、遊びに行ったり。まあ、基本1人だけどね」
「遊びに行くって?どこに?」
「別にどこにってわけじゃないけど。いろんなとこ適当にぶらついたり、いろんな遊びしたり。カラオケもそうだし、動物園行ったり、ボードゲームしたり、謎を解いたり」
「謎を解くって何?なぞなぞ?」
「うーん。まあ、なぞなぞみたいなのもあるけど、ちょっと違う感じのやつもあるのよ。例えば……」
と言って彼女はスマホを取り出す。そして何か入力している。おいおい、デート中にスマホをいじるのってなしじゃなかったのかよ。しかも、食事中だぞ。と思っている間に、彼女はスマホを差し出してきた。
「これ。分かる?」
スマホの画面には何やら文字がある。
貝→印鑑
西→新任
桁→探検
下→?
「確かになぞなぞとはちがうみたいだね。うーん。かいがいんかん。にしがしんにん。けたがたんけん。ふー。かい、いんかんねー」
「冷めちゃうよ」
「あ、そうね。食べる食べる」
何口か口に運ぶ。
「あっ。いか、いんかん、しに、しんにん。たけ、たんけん。だから、たしになって。たんしん……たんしん……。そうか、単身赴任とかの単身か!」
「そう、正解!よくノーヒントでわかったね。こういうのが、謎解きって言うの。
それで、リアル謎解きゲームとかリアル脱出ゲームとか言って、部屋に閉じ込められて、そこから謎をいくつか解いて出るっていうイベントがあるの」
「閉じ込められるの?ガチな方で、リアルに?」
「そう。リアルにガチに。札幌にもいくつか団体あったり、リアル脱出ゲームのお店あったりするんだよ。誰かと行きたいなと思うんだけど、なかなかいなくて。行ってみない?」
「機会があればね」
まず、情報量の洪水から脱出したい。
「土日は基本大丈夫なんだよね」
「あー、うん、まー……ごちそうさま」
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