-4-「ピぎゃ!」
④
『クラエッ!』
黒い
ヒカルたちは何とも無かったが、
それを見てティルンは再び火球を作ろうとしている。
「ヤベッ、もう一発あれ食らったらヤバイぜ! 水原、ヒカル。早く!」
ツヨシは魔法を急ぐ。
「解ってるわよ! 行くわよ!」
ヒカルたちは魔女から教わった通りに人差し指で宙に円を描き、
「「「トンドーロパーフィ!」」」
ティルンに向かっていく三本の
『ピぎゃ!』
ツヨシの雷の矢だけが命中した。
「なにやってるんだよ、二人とも!」
「仕方ないじゃない、いきなりだったし」
「だから、あれほど練習しとけって言っただろう!」
「言われてないわよ!」
ナツキとツヨシの
「なに、今の?」
アヤカがポツリとこぼした疑問にナツキが答えてあげる。
「アヤカ、驚いたでしょう。今の魔法なんだよ!」
「ま、魔法!?」
「そう。
ナツキが話している
『クソー、イタいゾーー!』
ティルンの
先ほどの小さな雷光では大したダメージを受けていないようだ。
また、ヒカルたちのまさかの
『グオオオォォォッッ!』
ティルンはまた火球を作り出す。しかも先ほどよりも
「ヤベっ!」
危険を感じたツヨシは、すぐさま呪文を
――ズッドォォォォォン!
火球が光の壁に衝突すると、大地が揺れるほどの
その
「水晶が!?」
ツヨシは叫んだ。
自分の手の平に
自分の
光の壁を失ったヒカルたちが火球を
「ヤベっ! 水原、ヒカル、早く魔法を使えよ!」
「使えって言われても当たらないし、当たっても大して効いてないわよ!」
「それでもアイツをなんとかしないと、こっちがヤバイぞ!」
ツヨシの言葉にヒカルが行動を起こす。
「トンドーロパーフィ!」
放たれた
だが、その雷撃は先ほど放ったものよりも太く大きかったことにヒカルは気付いた。
「今のは‥‥」
「なにやってるんだよ、ヒカル!」
「ご、ごめん」
外したことにツヨシがなじるも、ティルンは
「ねぇ、この
とナツキが提案する。
「逃げるたって、どこにだよ?」
例え逃げたとしても逃げ切れるとは思えなかった。
ツヨシとナツキが短い時間で相談している中、ヒカルはさっき放った
人は誰しも危機的な状況なほどパニックになり
魔女と逢った時に。トッティを探していた時に。そして今。
その為か
「
ヒカルは思い付く‥‥いや、思い出したと言って良いだろう。あの三年生の実験を。
「みんな、今すぐ手を
突然のヒカルの提案にツヨシたちは
「なんだいきなり、こんな時に?」
「良いから早く!」
ツヨシに突っ返すようにヒカルは叫ぶと、自分の隣に居たナツキの手を取った。
「ヒカル、どういうことよ?」
「ほら、理科の実験だよ! 静電気の実験!」
静電気の実験とは、ヒカルたちが小学三年生の理科の授業の時に行った実験である。
人間の身体には
実験は、その
その電気を味わったのがツヨシだった。
「静電気の実験? あれか!」
「一人の雷撃の
「でも、上手くいくの?」
ナツキの不安にヒカルは強い声で返す。
「
その言葉にナツキは、
「‥‥そうね! アヤカ!」
アヤカの手を取って
この中でただ一人、
そしてヒカルは空いている左手をツヨシの背中に触れた。ツヨシは自分の背中に熱い体温を感じた。
ヒカルたちの態勢を傍から見れば、ヒカルたちはツヨシを盾にしているようだった。しかし、それは己の身を守るためのでは無い。攻撃の姿勢だ。
ツヨシは素早い所作で円を描くと、今まで一番大きい声で呪文を唱えると共に、ヒカルたちも復唱した。
「「「トンドーロパーフィ!」」」
ツヨシの指先から四人分の静電気(雷撃)が合わさった強烈な雷光が
雷の閃光は迫り来るティルンの火球をかき消し、
『ヘッ?』
ティルンに
『ピギヤャーーーーーーー!』
バリバリと激しい音を立てて、
ティルンは
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