4日目 小悪魔-ティルン-
-1-「だって私だけだと嘘っぽいじゃない」
①
秘密の花園、魔女の
「うん、ヒカルたちは無事に戻れたみたいね」
水晶玉から伝わる
万が一に
「これなら、ついていってあげた方が良かったかしら? でもまあ、
ここには調べ物‥‥トッティを
先のケルベロスとの戦いにおいて自分以外の
手元にある資料(書物)から合成の
「やれやれ、まさかここにやって来るなんてね。ヒカルと関わったお陰で色んなイベントが起きるわね」
「さてと合成系の本はと‥‥。そういえば、あのトッティキメラから、ちょっと
本がぎっしりと
「あら、ここに入れていた本は‥‥」
辺りを見渡すと床にはいくつもの本が散乱しており、その中で他の本よりも少し新しめの一冊の本に目がついた。
「あ、この本は‥‥」
手に取り、パラっとページを
「ふむふむ、これは‥‥」
魔女は目的そっちのけで本を読むのに夢中になってしまった。
本来しなければいけないことを前にした時、別の事をしたくなる
他のことに気を取られながら、時は流れていく。
◆◆◆
「ふふ。アヤカに
今日の
ヒカルが朝ご飯を食べ終わると、ナツキが家にやって来た。
朝のラジオ体操の際にヒカルの家に
ナツキがやって来た理由は、もちろん
アヤカに
「ナツキちゃん、やっぱり魔女さんと一緒に行った方が良くない?」
「でも、魔女さんがいつ戻ってくるのか、解らないんでしょう?」
「まあね。でもさあ‥‥」
ナツキは
ヒカルの母親に
昨日みたく魔女を探しに行くのではないにしても、
『なぜボクを連れていくのかと?』
ヒカルが
「だって私だけだと嘘っぽいじゃない。ここは
だったら、なおそら本人(
「昨日教わった魔法を見せてあげれば信じてくれるんじゃない?」
当然なことを言ったつもりだが、今度はナツキが
「あんな
確かに電撃を放つ魔法は男子ならともかく女子は憧れたり羨ましがったりしないだろう。それはナツキの様子を見ていれば
そんなナツキを見つめていると、ふと想い起こす‥‥二年前はナツキがよく家に遊びに来て、こうして一緒に遊びに行ったりもしたが、三年生の時に別のクラスになってからは
だけど
こういう夏休みも良いなと思える気持ちがヒカルの中に生まれていたのであった。
ヒカルの視線にナツキが気付く。
「な、なによ? 黙ってこっち見て?」
「あ、いや、別に!」
ヒカルは
「そ、そうだ、アヤカちゃんの家に行くって連絡は?」
「
「なるほどね」
二人が話しながら歩いていると、
「あれ、水原とヒカルじゃん」
聞き覚えがある声に呼びかけられた。
前を行く道にマウンテンバイクに跨ったスポーツ刈りの少年…‥火野ツヨシがこちらの方へとやってきた。
「
「はっ!? なんでよ?」
ツヨシの発言に、ナツキが代わりに問う。
「もちろん
「火野くんも
「用って言うか、昨日は面白かったからさあ。また何か魔法でも教えて貰おうと思ってな」
「そうなんだ。でも、まだ
「マジでっ!? ああ。だからまた、あの魔女さんの家に行こうとしているのか?」
ヒカルは首を横に振り、
「今からアヤカちゃんの所に行こうとしているんだ」
と素直に答えた
昨日の
しかし――
「アヤカって? 誰だっけ?」
ツヨシから返ってきた言葉は
「ツヨシ、それマジで言ってるの!?」
アヤカとクラスメートになって早四ヶ月も過ぎているのに覚えていないなんてと、流石に
ただ、そもそも男子が女子の名前を呼ぶことは
「同じクラスの
「菊池‥‥。ああ、体育館で倒れたアイツか。で、なんで菊池の所に行くんだ?」
話し合う二人の間にナツキが割って入る。
「ツヨシには関係無いでしょう! ほら、ヒカル。さっさと行くわよ!」
ナツキはヒカルの手を引っ張り、先へと進んでいく。
そしてツヨシは
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