第四日目 BGM物語

2017年7月12日「三つの異なる音楽からストーリーを組み立てる(断片でもよい)」

 死は踊りくる。しごく滑稽なふりをして。すぐそばにある。

 希望? ハッ! 笑っちゃうね。

 君はもう休むといい。天使が目覚めさせてくれるよ。


 だけどボクが舞い降りた人間の頬には赤い血の色は戻らないのさ。


 さあ踊ろう。おどっておどって、君を連れていくそのときまで。

 さあ踊ろう、怒りのダンスを。


 生はなぜ君を手放したか?

 主はなぜ君を許したか?

 君の最期の幕に 憐れみを垂れたもうたのさ! それだけだ!



 イカズチの音が響いてくるよ。

 夜明けは近い。

 ゆっくり目覚めるがいい。

 ま、おそらくなにも見えないだろうけれど。


 希望の天使は来たかい?

 力強い守護天使は枕元に立ったかい?

 天に響くラッパを聞き給え。

 これから始まるのは終焉さ。


 まどろみの中で畏怖するがいい。

 雲のうねりがここまで来てる。

 戦の音が、地響きが伝わるだろう?

 君はまさに戦いの渦中!


 ワルキューレが来るよ。きっと君を迎えにさ。

 死神の踊りはこれまでさ。彼女にバトンを渡して退散するよ。


 ああ! 楽しい夜だったよ!

 ああ! うつくしい恐怖だったよ!

 君のきょう気が見えた。それだけで充分だ。


 さあ、運命が来たよ!

 ああ、見えるかい?

 おしまいの始まりだ。群雲に終焉の天使が舞う。

 それ以上でも以下でもない。

 呼ぶのは――呼んだのは君だ。

「天使様たすけて」?

 ハッ!


 聞こうかそのわけを。

 君がいまにも死にそうな顔で必死にあがいて、宙をかいてる右手を、だれも――不幸にも気づかない。

 だから君は階段を昇る。

 一生懸命、生きたのにね。


 結局人間辿る道は同じなんだよ――幸福にもね。まるで福音だね。

 君にとってはそう聞こえるだろうね。


 光りがさしてる。いい場所へいけそうじゃないか。よかったねえ。ああ! アーメン!


 知らない過去は黙って流せばいい。犯した罪は洗い流すがいい。それで神様とやらは許してくれるはずじゃなかったかい?

 君たちの神は……。


 うらやましいよ、ホントさ。

 ああ、ほんとにほんとさ。

 笑っちゃうくらいほんとだらけだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る