2017年7月10日「ひまわりが似合う日ざし」

 私がいなくてもあなたは咲くの。おひさまがあって、ぬくもりが満ちていれば。

 お水、あげなくちゃね。もう、のどがカラカラ。だけど似合ってるよ、あなたには一番この季節が。

 だから、笑おう。

 あなたのように。


 遠くの森でセミが鳴いている。影法師のような、自分のちっぽけさに目の前がクラクラしてしまう。

 それでもあなたが滅びないように、水をかけてあげるの。大丈夫? 平気?

 この気候は誰かのものじゃなくて、あなたのためのもの。

 全身でのびをして、明日もまた咲いてね。


 過去にはずっと遠い何かを待っていた気がするの。

 信じてるのよ、バカみたいに。今も。

 雨を降らせるお手伝い。あなたの咲くところ、また見たいからね。

 来年も来てくれるわよね? 出会えるのよね、私たち。思い出のシャッターチャンス! 逃さないわ。今度こそ! ほうら!


 笑って、わらって、ワラッテ……?

 まぶしさに涙が出そうになるけれど、今日はおしまい。

 水道をキュッとしめる。

 ああいい気持ち。つめたくて、ジリジリとやけつく光は熱い。汗をタオルで拭いてシャワーを浴びて明日のために眠ろう。


 今夜も夢の中、あなたに逢えるかしら?

 希望は胸の中に留めておこう。

 ひそやかなさびしさ抱いて。

 ひまわりみたいに笑っていよう? 明日も……。


「え?」

 眠れない。静かな受信音。

 あなたからの着信。

 めずらしすぎて、反応がほんの少し遅れる。


「異動になったから……オレと来てくれるか?」

 ばっかじゃないの!?

「そんなのあたりまえ!」

 どうして私だったの? いつか聞いてみよう。

 知らず、泣き声。

「そっか……よかった」

 本当にこんなことってあるの? 涙がこぼれる。大好きよ……。


 二人で選んだ、二人で生きる道。それは太陽の導きに天を仰ぐひまわりのように。

「一緒に……なれるの?」

 私たち、ひまわりになれるね!

 星空にそっとキスを飛ばす……。



               END

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