第10話 知らされた内容

何故、赤髪のこの男は俺がアスラだという事を知っている。俺は誰にも言ってない。ゲーム内でも現実に関する事は一切言った事はない。

考えられるのは、ゼロムスのゲームをする為には役所で実名登録する必要がある為、役所の人間か、ゼロムスの運営なら知り得る事が出来る。

聞くしかない。

「すいませんが俺がアスラって事を

 何故知っているんですか?」

「何故って、お前知らないのかよ。今朝、ゼロムスのアップデートと同時にゲーム内プレイヤーの実名を知る事が出来るアプリが公開されて、真っ先に検索されまくったのがお前らしいぜ。まさか学校に来てないクラスメイトがアスラとは思いもしなかったけどな。あっ、そうそう。そういえば朝のあのアップデートはたったの5分で終わってよ、世界を変えるとんでもねぇアップデート実装しやがった。」

俺にはあまりにも意味がわからない話で、俺をおちょくってるのかさえ思ったが、相手はとても嘘をついてるように感じなかったので、とりあえず話を続ける事を選択した。

「とんでもないアップデートってなんですか?」

相手の表情は曇った。今思えばさっきも暗雲を隠して喋っていた気がする。

「俺達が使っている通貨あるだろ?あれがなくなってゼロムスのゲーム内通貨が現実で使える唯一の通貨になったみたいだぜ。俺はまだ物買ったりしてないからよくわからねぇけどよ。きっと世界は混乱してるだろうな。株、為替、土地転がしから一般人の私生活含む全てのライフワークバランスは一転するだろうな。20年前に世界の通貨をデータ化してなかったらこんな事にはならなかっただろうな。どうなるんだろうな、マジで。」

衝撃の内容に俺は言葉を失った。

こんな事考えたら失礼なんだろうが、見た目とは裏腹に赤髪はかなりしっかりした考えを持っているようだ。


 そんな事より今の内容が事実なら気になるのは現実に持っていた金がゲーム内の通貨に変換されたのか?もしくは綺麗さっぱり消滅したのか?

確認するにはまずはスマホのマネーの画面を開いてみるしかない。

しかしこんな人目のつく所で確認するのはアスラである事がバレている以上窃盗などが有り得るし得策ではない。

特にこの赤髪の前では危険かも知れない。

まずは、この場を離れなければいけないな。


 そう考えていると、赤髪が沈黙を破って話だした。

「スマホを見て現状を確認したい。でもアスラである事実がバレている以上人前でスマホを確認するのは危険だ。特に俺の前では。だろ?」

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万能ラウドネス まろ @maro8000

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